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パリ協定とは?日本の取り組みやアメリカ離脱の経緯をわかりやすく解説

2019.12.24

産業革命後の社会は、豊かな暮らしと引き換えに「気候変動」という大きな問題を残しました。この問題への取り組みは、今や世界共通の課題となっています。

そんななか、各国が一丸となって気候変動に取り組むための枠組みとして採択されたのが「パリ協定」です。この記事では、2019年にアメリカが離脱を宣告したことでも話題となった「パリ協定」の概要や、各国の目標・取り組みについてご紹介します。

パリ協定とは?地球温暖化やCO2対策の国際的枠組み

パリ協定とは、2015年11月30日から12月13日までの期間にパリ郊外で実施された「国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)」にて採択された国際条約です。気候変動に関する国際的な目標・取り組みを定めています。2016年11月4日に発効されました。

長期的な目標として、「産業革命以前と比較して気温上昇を2度未満に抑えること」を定めています。また、今世紀後半の世界全体の温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることも目標のひとつです。これらの目標を達成するため、2020年から各国が取り組むべき検討・支援などが国際的な枠組みとして示されています。

気候変動枠組条約には、世界196カ国が加盟しています。パリ協定は、この加盟国すべてが参加する史上初の協定です。日本も参加国のひとつとして批准しています。

気温上昇

京都議定書からパリ協定へ

パリ協定以前にも、同様の国際的な枠組みがありました。それが、1997年に採択された京都議定書です。パリ協定は京都議定書以来、18年ぶりに締結された国際合意ということになります。

京都議定書では、先進国に対して、温室効果ガスの排出を減少させることを要求しています。一方で、パリ協定では先進国、発展途上国を含むすべての国による排出削減が求められます。これは、京都議定書以降、大きく経済成長した新興国などの温室効果ガス排出量が考慮されたためです。

また、京都議定書は定められた目標を国々に課すトップダウンのアプローチだったのに対し、パリ協定では参加国が能動的に目標を定めるボトムアップの方式が採用されています。

パリ協定の「温室効果ガスの排出ゼロ」とは?日本や各国の目標を解説

上述したとおり、パリ協定で定められた目標のひとつは、産業革命前を基準とした温度上昇を2℃未満にとどめることです。正確には、「(気温上昇を)2℃より“十分”低く保つ」と記載されています。さらには、「1.5℃以下」が追求すべき努力目標として定められています。

一方で、21世紀後半に温室効果ガス排出を実質ゼロにすることも目標としています。この目標は、上述した温度上昇の目標を達成するための通過点とされているものです。

目標達成のための具体的な施策については定められていません。各国には、削減目標などの「自国が決定する貢献(NDC:Nationally Determined Contribution)」を、2020年以降、5年ごとに提出することが義務付けられています。また、先進国に関しては、途上国に対し金銭的・技術的サポートを行うことも求められます。

このように、パリ協定はあくまで取り組みの大枠を定めたものであり、目標を実現するための具体的な施策は各国で異なります。以下で、日本を含めた各国の取り組みについてご紹介しましょう。

各国の対応

日本の「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」

日本では、2030年度の温室効果ガスの排出を、2013年度を基準として26%削減することが中期目標として定められました。

2019年6月には「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」が閣議決定されています。こちらには、最終的に到達すべき「脱炭素社会」というキーワードや、2050年までの達成を目指す80%の温室効果ガス削減といった目標が盛り込まれています。

代替のエネルギーとして再生可能エネルギーの利用が奨励されており、太陽光発電システムの導入件数も増加中です。

パリ協定における各国の対応は?

EUは加盟国全体の目標として「2030年に1990年比で40%の温室効果ガス排出削減」を定めています。中でも、ドイツはとりわけ大きな目標を掲げており、「2030年に1990年比で55%の温室効果ガス排出削減」を目指しているようです。

アジアでは、中国が「2030年までに2005年比でGDP当たりの二酸化炭素排出を60~65%削減」、韓国が「2030年までに、具体的な削減対策を講じなかった場合の予想排出量と比べて37%削減」という目標を掲げています。

パリ協定からアメリカが離脱!

近年、パリ協定が大きな注目を浴びた出来事がありました。2017年6月、アメリカのドナルド・トランプ大統領が「パリ協定から離脱する」と宣言したことです。

これは、単なる宣言にとどまりませんでした。同氏は、その言葉通り2019年11月4日に国連へと正式な通告を行い、2020年には正式なアメリカのパリ協定離脱が予定されています。(2019年12月現在)

離脱のプロセスが予定通り進めば、温室効果ガスの排出大国であるアメリカが「世界で唯一パリ協定未参加の国」になるのです。

アメリカの温室効果ガス排出量は世界2位です。協定から離脱し、削減に向けた取り組みを行わないと考えると、パリ協定の世界的な実効性への大きな影響は否定できません。

日本政府は、今後も気候変動問題への対処のためにアメリカと協力していく方法を模索する意向を示しています。


パリ協定に関する各国の動きは、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの需要にも影響を与えることが考えられます。

太陽光発電の導入や太陽光発電でのビジネスを予定している場合は、今後のパリ協定に関わる各国の動きに注目しておきましょう。

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