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グリーンリカバリーとは?政策のポイントや各国の事例を紹介!

2021.8.30

コロナ禍からの経済復興策として位置付けられるグリーンリカバリーとは、どのような政策なのでしょうか?

この記事では、グリーンリカバリーの掲げる目標や、その背景を解説し、各国の事例を紹介していきます。

グリーンリカバリーとは 

グリーンリカバリーとは、CO2排出抑制や生物多様性の保全に貢献する技術や企業に投資することで、経済を活性化させようとする景気刺激策です。

従来からの大量生産・大量消費型の社会から抜け出し、同時に、コロナ禍によってダメージを受けた各国経済を復興させます。

世界のグリーンリカバリーの事例 

具体的に世界各国が実施しているグリーンリカバリー関連の政策を紹介します。

欧州

グリーンリカバリーを始めとする環境保全政策について、最も前向きに取り組んでいるのはヨーロッパです。グリーンリカバリーという考え方も、ヨーロッパを中心に広がりました。

以下、EUが掲げる政策です。

  • コロナ禍からの復興資金として7500億ユーロ(約89兆円)を投資する案を提示し、基金の柱としてグリーンリカバリーを挙げる。
  • 2020年以降の石炭火力の新規建設を禁止し、再生可能エネルギーへの転換を目指す指針を掲げる。
  • 二酸化炭素の排出を抑えるため、2026年から国境炭素税を導入。

アメリカ 

自国の経済発展を優先し、一時環境保全に後ろ向きだったアメリカですが、政権交代と共に方針を大きく変更しました。

  • バイデン大統領が4年間で200兆円以上をグリーンリカバリーに投資することを選挙公約として掲げる。
  • 2035年までに電力の脱炭素化を目指すと公表。

中国

アメリカと同じく、自国経済を最優先としてきた中国ですが、近年は風向きが変わってきました。

  • 2030年までにGDPあたりのCO2排出量を2005年比で65%以上減らすことを公言。
  • 2025年までに資源循環経済体制を整えることを目標としている。

日本

環境保全活動については動きが遅い日本ですが、世界の情勢を捉え、足並みを揃えようとしていることが見て取れます。

  • 菅首相が2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを公約とした。
  • 民間企業の環境保全活動を促進するため、2兆円の研究開発基金を創設。
  • 日本の民間企業や自治体などが中心に、脱炭素社会実現に向けた組織JCIを立ち上げ。
環境保護

なぜ今「グリーンリカバリー」なのか? 

アメリカ、中国などの巨大な経済圏がコロナ禍からの経済復興策として「グリーンリカバリー」を掲げたことは、大変象徴的な出来事です。彼らはなぜ「環境保護・生物多様性の保全への投資」を選んだのでしょうか?

これまで、「環境保護」や「生物多様性の保全」は経済成長の足を引っ張るものと捉えられてきました。

環境保護によって国際的な評価は得られますが、そのためには自国経済を犠牲にしなければなりません。結果として、突出した環境保護政策は実施せず、国際社会の批判を受けない程度の対策に終始する国がほとんどでした。

しかし、状況は少しずつ変化しています。

様々な規制によって、炭素を排出するリスクが高まり、無視できないほどの大きさになってきました。同時に、持続可能な社会の実現に貢献する製品・サービスはより大きな評価を受ける社会となりつつあります。また、この流れは不可逆的なもので、今後も進展していくことでしょう。

持続可能な社会づくり

これらの要因により、環境保護活動に対する利益と不利益の関係は、遂に逆転しました。これまでは「批判を受けない程度に守らなければならない規制」であった「環境保護」が、「積極的に取り組めば、そのリターンが得られる取り組み」に変わったのです。もっと簡単に言えば「持続可能な社会の実現に対する投資は儲かる」という時代に突入しつつあることが示唆されます。

その証拠として、北欧や日本の年金基金は ESG(Environment・Social・Governance)投資に舵を切りました。年金基金は安定収入を得るという使命を帯びているため、長期間に渡って高収益を得られる優良企業に投資をする傾向があります。つまり、日本の年金基金は持続可能な社会の実現に貢献する事業に長期的な将来性があると判断したのです。アメリカやヨーロッパの大手年金基金も多くは環境重視を打ち出しています。

私たちは、環境保護や持続可能な社会の実現に対する旧来的な考え方を転換させなければなりません。環境保護は最早、「大変だけど、皆で我慢して実現しなければならないこと」ではないのです。

グリーンリカバリーという波に乗るためのポイント 

では、企業として、私たちがこのグリーンリカバリーの政策と向き合うために注意すべきことは何なのでしょうか?

それは「独自の基準で、他が追随できない規格を作っても意味がない」ということです。せっかく、環境保護に貢献する事業を行ったならば、それは正しく評価され、利益を享受すべきです。得られた利益で更に環境に投資をすれば、新たな利益を生み出す好循環が出来上がります。続けていけば、コロナ禍からの脱却と、持続可能社会の実現を両立することができるでしょう。

世界に足並みを揃え、世界の求める持続化技術を提供できる会社がこれからの未来で、強い企業なのです。

持続可能社会の実現

よって、独りよがりな基準を使って「自社は環境に配慮しています」と宣伝を行っても僅かな利益しか生みません。日本国内で統一された、可能ならば世界レベルで統一された評価基準に則り、その中で勝負すべきです。

こうした基準は各種補助金の申請要件などに記載されていますが、それらより分かりやすい、誰でも知っている世界標準があります。それが SDGsです。また、CO2の排出抑制については、パリ協定が挙げられます。

パリ協定について詳しくは「パリ協定とは?日本の取り組みやアメリカ離脱の経緯をわかりやすく解説」で解説しています。

SDGsやパリ協定には「世界が求めるものは何なのか?」が大々的に提示されています。こうした基準に照らして自社の事業を見つめ直し、効果的な広告を打ち出すことを意識しましょう。それこそが、環境保護や持続可能な社会の実現に至る近道です。

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