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カーボンニュートラルとは?目的や取り組み、企業事例も含めて解説!

2021.4.28

「カーボンニュートラル」という用語を最近、ニュースやビジネスなどで耳にする機会が増えてきました。環境問題対策が重要な現代では、カーボンニュートラルへの理解を深め、取り組みを知っておくことが大切です。

この記事では、カーボンニュートラルの目的や、実現に向けた企業事例について解説します。

カーボンニュートラルとは?

カーボンニュートラルとは、地球上に存在するCO2(二酸化炭素)の総量が増えたり減ったりしない状態を表す考え方です。「カーボン」はCO2に含まれる炭素、「ニュートラル」はバランスのとれた中立な様子を表します。

CO2は温室効果ガスの1つとされ、地球上に存在するCO2の総量が増えることは地球温暖化に繋がります。そのため、CO2の排出量と吸収量を等しくし、トータルでプラスマイナスゼロとなるカーボンニュートラルを目指すことが重要視されています。

日本では2020年10月の臨時国会で、菅首相によって「2050年カーボンニュートラル」が宣言されました。この宣言で、日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出量を全体としてゼロとすることを表明しています。

カーボンニュートラルのために再生可能エネルギーを生成している図

カーボンオフセットとの違い

カーボンオフセットとは、CO2の排出量を減らす努力をしたうえで、別の場所でCO2の削減吸収によって埋め合わせをする考え方です。

カーボンオフセットとカーボンニュートラルは、いずれも温室効果ガスの排出量を減らすという同じ方向性をもっています。カーボンニュートラルはCO2の排出量と吸収量が等しい状態を表すことに対して、カーボンオフセットは排出量の一部を相殺することを表す用語です。

カーボンニュートラルな社会を実現するためには、カーボンオフセットの取り組みが欠かせません。そのため、カーボンオフセットはカーボンニュートラルの前段階にあたる概念として捉えられます。

カーボンオフセットを実行する際は、「クレジット」と呼ばれる考え方が重要です。温室効果ガスの削減・吸収に繋がる活動や機器は、クレジットとして市場で取引されます。クレジットの購入により、排出した温室効果ガスの埋め合わせが可能です。

カーボンオフセットに関する詳しい内容は、「カーボンオフセットとは?必要性や企業の取り組み事例をわかりやすく解説」の記事でご覧ください。

カーボンニュートラルを2050年までに実現!目的は?

カーボンニュートラル実現までの期限は、2020年から本格的に運用が開始された「パリ協定」と関係があります。

パリ協定とは、地球温暖化対策に関する国際会議で2015年に合意された協定です。パリ協定は、1997年に定められた京都議定書の後継にあたります。今世紀の後半までに、カーボンニュートラルを実現することがパリ協定に記載されました。

パリ協定に関する詳しい内容は「パリ協定とは?日本の取り組みやアメリカ離脱の経緯をわかりやすく解説」の記事でご覧ください。

さらに、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)も、「IPCC1.5度特別報告書」においてカーボンニュートラルに言及しています。IPCCの報告書によれば、産業革命以降の気温上昇を1.5度以内に抑えるために、2050年までにカーボンニュートラルを実現することが必須です。

地球にやさしいエネルギ-を推進している図

日本の目標と目的

日本においても、2050年までのカーボンニュートラル実現を目的として、さまざまな目標が立てられています。

たとえば、CO2の排出量を実質ゼロから減少へ転じさせる「ビヨンド・ゼロ」を目指した技術革新は、日本政府が目指す目標の1つです。また、四季による気候変動の影響を受けやすい制約のもとで、再生可能エネルギーによる十分な電源確保も重視されています。

カーボンニュートラル実現に向けた取り組み・企業事例

カーボンニュートラル実現に向けて、国内外で数多くの取り組みが行われています。また、2050年に向けて計画されている事例も豊富です。

以下では、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みについて、海外と国内の企業事例を紹介します。

海外の事例

海外で取り組まれているカーボンニュートラル実現に向けた事例は次の通りです。

パタゴニア 環境再生型有機農業

アウトドア用品を製造販売するパタゴニアは、「故郷である地球を救う」というミッションを掲げています。パタゴニアが実施するカーボンニュートラル実現に向けた取り組みは、環境再生型有機農業です。

パタゴニアが取り組む農業では、有機肥料の使用などにより、地中の根や微生物による二酸化炭素の固定効果を高めています。2025年までにカーボンニュートラルな体系を実現することがパタゴニアの目標です。

ダイムラー 燃料電池自動車

ドイツの代表的な自動車メーカーであるダイムラーと関連会社は、燃料電池自動車の開発に取り組んでいます。2020年9月にダイムラー・トラックから発表された大型FCVトラックは、カーボンニュートラル実現に向けた製品の1つです。

ダイムラー・トラックの大型FCVトラックは長距離輸送が可能な燃料電池自動車で、1,000キロメートル以上の走行に向いています。2023年にテスト走行が始まり、2020年代の後半には量産が開始される予定です。

ロンドン イズリントン地区 地下鉄排熱の利用

ロンドンの北部にあるイズリントン地区では、カーボンニュートラルの実現に向けて地下鉄排熱の利用が進められています。

大ロンドン庁の推定によれば、地下鉄の運営に伴う排熱は、ロンドンにおける暖房需要の約4割に相当するエネルギー量です。地下鉄の排熱を家庭や企業の暖房に活用することで、使用電力の削減効果が期待されます。

事例によってエネルギーを削減する様子

国内の事例

国内で取り組まれているカーボンニュートラル実現に向けた事例は次の通りです。

大崎クールジェン 石炭火力試験発電所

中国電力とJパワーの共同出資により設立された大崎クールジェンは、発電所や向上から排出されるCO2を再利用する取り組みを行っています。

排出されたCO2の再利用は「カーボンリサイクル」と呼ばれる手法です。日本政府は2019年にカーボンリサイクル室を設置し予算を計上するなど、技術開発に注力しています。

石炭火力試験発電所のプロジェクトが成功した場合、従来の石炭火力発電と比較して約9割のCO2を削減できる見込みです。

三菱重工エンジニアリング CO2回収装置の開発

三菱重工エンジニアリングでは、CO2を回収し大気中への排出量を削減するための装置を開発しています。三菱重工エンジニアリングはアメリカに世界最大規模のCO2回収設備を建設し、排ガスからのCO2回収を実現しました。

阪急電鉄 カーボンニュートラル・ステーション

阪急電鉄の摂津市駅は、二酸化炭素排出量の削減と排出権取引制度の活用により、カーボンニュートラルを実現しています。国内の駅でカーボンニュートラルを達成した事例は、摂津市駅が初めてです。

摂津市駅では、年間約70トンと算出された二酸化炭素排出量のうち、約36トン分の削減を行いました。摂津市駅が行った主な取り組みは、太陽光発電の活用やLED照明の導入などです。

残りの約34トン分は二酸化炭素排出枠を購入することで相殺し、カーボンニュートラルを実現しています。


温室効果ガスの排出量をプラスマイナスゼロにするカーボンニュートラルは、社会全体として目指すべき状態です。

多くの国や企業がカーボンニュートラル実現に向けて活動することで、環境問題の解決につながります。日本でも2050年に向けてカーボンニュートラルを目指しているので、今後の動向に注目です。

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