【売電情報まとめ】太陽光の売電価格、期間、FIT終了後の対応を解説
2020.2.19

太陽光発電システムを導入している方、検討中の方、どちらにおいても、気になるのは「売電」についての情報です。2019年11月より、早くも固定価格買取制度(FIT)が満了となるケースも出始めました。
この記事では、売電に関する基本的な情報から、FIT終了後の対応まで、まとめて一気に紹介します。
売電とは?売電価格やFITが保証する期間について
「売電」とは、太陽光発電において、発電した電力(家庭用太陽光発電システムでは、自家消費をした後の余剰分)を電力会社に売ることを意味しています。
売電すると、いわゆる「売電収入」を得ることができます。太陽光発電など、再生可能エネルギーの買取価格は、「固定価格買取制度(FIT)」により、一定期間、同じ価格で買い取ってもらえることが保証されています。
固定買取制度(FIT)については、「固定価格買取制度(改正FIT法)とは?太陽光発電の売電についてわかりやすく解説」をご覧ください。
固定価格買取制度(FIT)において保証される買取期間は、家庭用(10kW未満)の場合、10年間となっています。2019年度の売電価格は、24円~26円です。
一方、産業用(10kW以上)太陽光発電システムの場合、20年間の買取が保証されます。2019年度の売電価格は、10kW以上500kW未満が14円。なお、500kW以上の発電量では、入札制となっています。
売電価格については、「太陽光発電の売電価格!今後の推移や買取期間終了後の売電はどうなる?」をご覧ください。
売電価格の推移と今後の予想をチェック!
実は、売電価格は年々下がっている傾向にあります。しかし、心配する必要はありません。太陽光発電システムの購入費用や設置費用も下がっているので、これまでと比べて、利益率に大きな変化はありません。

売電価格は、経済産業省によって定められます。なお、政府においても「2025年には、1kWhあたり7円」という価格の引き下げ目標が発表されています。しかし、今後も売電のメリットは大いにあり、投資以外の目的においても太陽光発電自体の有用性が高まっていきます。
売電の買取価格については、「太陽光発電の買取価格は下がっていく?今後の価格や導入の判断材料もあわせてご紹介!」をご覧ください。
売電期間が終了するとどうなる?2019年問題って?
太陽光発電における固定価格買取制度(FIT)は、2009年にスタートしたため、2019年の11月から、買取保証期間が満了となる家庭用太陽光発電システムが出てきました。つまり、FIT制度の対象外となるケースが発生することになります。
2019年問題については、「太陽光発電の2019年問題とは?あなたの発電システムに影響はある?」をご覧下さい。
2019年問題によって、予想していた収益のプランに影響を受けるのは、2009年から2015年までに設置された家庭用太陽光発電システム(10kW未満)だといわれています。
とはいえ、家庭用の太陽光発電システムでは、導入から約8年間で、初期費用の回収が可能だと考えられています。そのため、多くの家庭では、2019年問題によって損害を受けることはありません。
ただし、固定価格買取制度(FIT)は、売電開始から10年間で順次、満了していくため、今後も2019年問題は継続するといえるでしょう。

固定価格買取制度(FIT)が満了すると、売電価格の低下などが予想されます。
なお、10kW以上の産業用太陽光発電システムにおいては、固定価格買取制度(FIT)による保証期間が20年と長いため、2019年問題による影響はありません。将来に備え、売電期間終了後の対応を参考に知っておくとよいでしょう。
売電期間終了後の対応については、「太陽光発電におけるFITとは?終了後の次のステップは?【2019年度版】」をご覧ください。
【必見】売電期間終了(卒FIT)後の対応
固定価格買取制度(FIT)が終了することを、一般に「卒FIT」といいます。売電期間終了(卒FIT)後には、大きく3つの対応が考えられます。
- 売電せずに自家消費する
- 引き続き大手電力会社に売電する
- 新電力に売電する
ここでは、自家消費以外の対応方法について紹介します。
引き続き大手電力会社に売電する
大手電力会社では、卒FIT後でも引き続き買取を行っています。各電力会社にて7~9円/kWhで買取を継続するプランが実地されています。
なお、シンプルな買取制度だけではなく、以下のように、特徴に応じたさまざまなプランを選ぶことができます。
- 年間定額の一括買取プラン
- 蓄電池を定額で使えるプラン
- 売電価格によりポイントが還元されるプラン
- 電力会社に余剰電力を預ける仮想蓄電サービスプラン
- 自家消費する
卒FIT後には、発電した電力を家庭や事業所で自家消費するという選択肢もあります。現在では、FIT終了後の売電価格よりも、電力会社から電気を買う価格のほうが高くなっています。そのため、電力会社で買う電気を減らし、太陽光発電で得た電力を使用することにより、電気代を節約することができます。
新電力会社に売電する
大手電力会社以外にも、太陽光発電による電力を買い取る会社は多く、さまざまなプランが用意されています。プランや契約内容によっては、大手電力会社よりも新電力会社の方がお得になるケースもあるため条件の良いプランを調べましょう。
卒FIT後の対応については、「卒FIT後も売電できる?FIT制度後の電力会社等の対応とあわせて解説」をご覧ください。
なお、ここで、気になる大手電力事業者の対応について「東北電力」を例に紹介していきます。
対応地域:東北六県、関東地方一都六県、山梨県、新潟県、静岡県
シンプル買取
太陽光発電における余剰電力を東北電力が買い取るプラン。
買取価格は9円/kWhと、大手電力会社の中でも非常に高い価格となっています。
- エコキュート・蓄電池リースサービス
- 太陽光発電における電力でエコキュートによる給湯をしたい
- 昼間の余剰電力を蓄電池に貯め、夜間に使用したい
- 災害用に電力を貯めておきたい
このような人向けに、最大10年間、蓄電池等のリース契約や機器導入のサポートを行うサービスとなっています。
でんきお預かりサービス
東北電力が、銀行預金のように太陽光発電システムオーナーの余剰電力を一旦預かり、オーナーは預けた電力を必要な時に使用するという「仮想蓄電池」のようなプランです。また、離れて暮らす家族に電力をシェアすることもできます。
そのほかの大手電力会社の対応については、「FIT(固定価格買取制度)終了後はどうなる?大手電力会社の対応まとめ」をご覧ください。

売電はFIT制度からFIP制度へ
FIPとは、Feed-in Premiumの略であり、Feed-in(=~を与える、入れる)、とPremium(=割増金、補助金)を組み合わせられて作られた言葉です。
FIP制度とは、市場原理に応じた売電価格(卸電力市場で実際に売れる価格)にPremium(割増金)を上乗せするシステムです。売電により、売電価格と割増金の合計額を受け取ることになります。
固定価格買取制度(FIT制度)は再生可能エネルギーの普及を目的とした制度であり、太陽光発電をはじめとした発電システムの導入増加に大きく貢献しました。しかし、売電価格の設定が難しく、市場原理が働きにくいといった問題も指摘されています。また、FIT制度が定められたFIT法は措置法であるため、2020年度末までに制度の見直しが必要とされています。
このような状況を受け、産業用太陽光発電システムの買取制度は、FIT制度からFIP制度に移行するのではないかと考えられています。
FIP制度の導入には、まだまだ不確定な部分も多くあるため、今後の動向から目が離せません。
FIP制度については、「FIPとは?ポストFIT制度?産業用太陽光発電の新制度について徹底解説」をご覧ください。
2019年11月より、徐々に固定価格買取制度(FIT)が終了し、卒FIT後の対応を考えることが必要となってきました。大手電力会社だけではなく新電力会社も、独自の売電システムなどさまざまなプランを打ち出しています。
この記事を参考に、FIT制度、卒FIT後の対応、FIP制度まで、売電にまつわる情報をチェックしましょう。