太陽光発電のシミュレーションが必要な理由や方法、注意点まで徹底解説!
2020.1.14

太陽光発電の導入前には、発電量や売電収支を予測するためのシミュレーションが行われます。誤ったシミュレーションをしてしまうと、運用の際に損失が出る可能性があるので注意が必要です。
この記事では、シミュレーションの重要性や具体的な方法について解説します。
シミュレーションによって太陽光発電の何がわかる?
太陽光発電システムの導入前には、住宅用・産業用を問わずシミュレーションを実施するのが一般的です。シミュレーションでは以下のようなことがわかります。
- 環境に応じた太陽光発電量
- お金に関すること(設置費用概算、取得できる補助金、売電収支予想)
- 地球温暖化防止への貢献度
- 予想される発電損失
太陽光発電のシミュレーション方法を紹介
太陽光発電のシミュレーションを行う方法として、以下のようなものが挙げられます。
パネルメーカーに任せる
太陽光パネルのメーカーは発電量を予想するシミュレーションを行っている場合が多いです。
方法はメーカーによりますが、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のツールに準拠した数値を出すケースがほとんどです。ただし、設置後のクレームを警戒して実際の発電量より控えめな数値を公表する傾向があります。
設置業者に任せる
設置業者にシミュレーションを依頼することもできます。
設置業者のシミュレーションには、NEDOのツールで算出したシミュレーションデータに業者独自のアレンジを加えてより現実的な数値として公表するケース、太陽光発電システム付帯のシミュレーションツールによるデータを公表するケースが一般的です。
NEDO日射量データベースについては、「NEDO日射量データベースで太陽光発電の効率を知ろう」をご覧ください。
専用ソフト
太陽光発電のシミュレーションを目的として開発された専用のソフトもあります。「PVsyst」と「SolarPro」が代表的です。
こうしたソフトをパネルメーカーや設置業者が導入しているケースもあります。10万円程度の費用がかかり、操作も複雑ですが、個人で専門ソフトを購入してシミュレーションを行うことも可能です。
自分で行う
算出できる項目は限られますが、手計算により自力でシミュレーションを行うこともできます。方法については後述します。

太陽光発電のシミュレーションをする前に知るべきこととは?
太陽光発電のシミュレーションを行う前に知っておいていただきたいことをご紹介します。
太陽光発電のシミュレーションをする前に①注意するべきこと
太陽光発電の計算方法や項目には、公式に決められたルールがありません。つまり、詳細な計算方法や公表する内容は、実施する者によって異なる可能性があるということです。
シミュレーションの知識がない業者に依頼すると、現実的な結果とは大きく違う値が出されることもあります。中には、成約率を上げるために悪質なシミュレーション結果を提示する会社もあるようです。
太陽光発電のシミュレーションをする前に②シミュレーションに必要な項目
シミュレーションを行うためには、少なくとも以下の3つの情報が求められます。
- 設置する地域(住所)
- 設置面の傾斜・方角
- 太陽光パネルの種類
シミュレーションを行う場合には、この3点の情報を把握しておきましょう。
太陽光発電のシミュレーションをする前に③結果に影響を与える項目
シミュレーションでわかる発電量・収支はあくまで予測です。実際には以下のような要素によって誤差が生じる可能性があります。
- 天候
- 日照時間
- 障害物

太陽光発電のシミュレーション結果で見るべきポイントとは?
上述したとおり、事業者に依頼して得られたシミュレーション結果は、必ずしも信頼できるとは限りません。受け取ったシミュレーション結果を鵜呑みにしてしまうと、利益が予想を下回ってしまう可能性があります。
シミュレーション結果を受け取った際は、以下のような点を確認しましょう。
- 発電量の損失について考慮されているのか
- 影による発電量損失が考慮されているか
- 日射量の出所はどこか
- 電圧抑制や出力制御は考慮されているのか
シミュレーションの見方がわからない場合は、算出結果の根拠について問い合わせたり、複数の事業者でシミュレーションを取ったりすることがおすすめです。また、後述する方法により自力で計算して照らし合わせることもできます。
太陽光発電のシミュレーション結果を自分で計算して確かめる
初心者でも、自力でおおまかなシミュレーションを行うことができます。
例として、年間発電量は以下のような計算式で概算できます。
システム容量(kW)×1か月当たりの日射量(kW/㎡)×損失係数×12か月
=年間発電量
日射量に関しては、設置現場と環境によって異なるため、「NEDO日射量データベース」を利用し、シミュレーションを行ってみましょう。
シミュレーションの際には太陽光発電の運用にかかる金額も考慮
しばしば忘れがちですが、正確なシミュレーションを行うためには、以下のような要素も考慮する必要があります。
- 太陽光発電システムの保険料
- メンテナンス費用
- 償却資産税(固定資産税)
- 修理費用
太陽光発電システムのメーカーによる製品保証では、外部からの損害はカバーされません。近年増加する自然災害の可能性を考えると、保険に加入しておくのが賢明でしょう。
また、改正FIT法によりメンテナンスが義務化されたため、メンテナンス費用もランニングコストとして考える必要があります。
固定資産税も忘れないように注意が必要です。
さらに、長期的に運用するためには、経年劣化や故障などによる修理費用も考慮しておかなければなりません。
この記事では、太陽光発電のシミュレーションについて解説しました。シミュレーションの結果によっては、導入する設備や運用計画を見直す必要があります。長期にわたって運用する太陽光発電システムだからこそ、入念なシミュレーションを行ったうえで導入しましょう。