太陽光発電システムに蓄電池を後付けするには?パターン別に解説!
2019.5.14

太陽光発電システムをフル活用するためには、蓄電池が必要です。近年では、売電価格の下落や震災の多発により太陽光で発電した電気を「売電」ではなく「自家消費」に切り替えようとしている方が多いかもしれません。
この記事では、すでに設置している太陽光発電システムに蓄電池を後付けする方法についてお話します。
蓄電池を後付けする方法は太陽光発電システムの状況次第
太陽光発電において、蓄電池を購入し、設置するだけでは発電した電気を貯めることはできません。すでに設置している太陽光発電システムの状況によって、蓄電池の導入方法は異なります。
太陽光発電システムには太陽光パネルで発電された電力を使用できる形に変換する「パワーコンディショナー」という製品が必要です。
発電した電力をリアルタイムで消費する場合、パワーコンディショナーは1台で問題ありません。しかし、蓄電池を太陽光発電システムに組み込む場合、蓄電池用にもう1台パワーコンディショナーが必要です。
すでに太陽光発電システムを導入している場合、既設のパワーコンディショナーによって蓄電池を検討する必要があります。
太陽光発電システムをこれから導入しようとしている場合は、将来の蓄電池の導入を見据えて、パワーコンディショナーを選ぶと良いでしょう。
パワーコンディショナーについてくわしくは、「パワーコンディショナーとは?太陽光発電用パワコンの価格・仕組み・寿命を解説」の記事をご覧ください。
【蓄電池の後付け】すでに太陽光発電システムを導入済みの場合
すでに太陽光発電システムが導入されている場合の蓄電池導入パターンを以下の2つのパターンに分けてご紹介します。
- 蓄電池と蓄電池専用のパワーコンディショナー(パワコン)を導入する場合
- 蓄電池と両用(太陽光・蓄電池)パワコンを導入する場合
後付け方法① 蓄電池+蓄電池用パワコンを後付け
最初にご紹介するのは、蓄電池と蓄電池専用のパワコン(パワーコンディショナー)を導入する方法です。この場合、太陽光発電システムに既設パワーコンディショナーはそのまま使用します。

既設パワーコンディショナーの経年劣化が少なく、まだ使用できる場合は通常この方法を選択します。
この後付け方法の場合、あらゆるパワーコンディショナーが選択肢に入るため、純粋に性能だけに着目して製品を選ぶことができます。
後付け方法② 蓄電池+両用(太陽光・蓄電池)パワコンを後付け
蓄電池に合わせてハイブリッドタイプのパワーコンディショナーを購入し、既設のパワーコンディショナーを交換する方法もあります。
パワーコンディショナーが1台ですむため、省スペース化が可能です。
また、パワーコンディショナーの買い替えタイミングは10年に1度と考えられているため、このタイミングであればハイブリッドタイプへの買い替えがおすすめです。

後付けする家庭用蓄電池のご紹介
家庭用の蓄電池には以下のような製品があります。
シャープ JH-WB1402
- 容量:4.8kWh
- 設置場所:屋外
- 希望小売価格:オープン価格
家庭用として標準的な容量の蓄電池です。簡易基礎によって、スピーディーに設置できます。
オムロン KP-BU65-A
- 容量:6.5kWh
- 設置場所:屋内
- 希望小売価格:2,660,000円
サイズが小さく軽量なモデルであり、屋内にも無理なく設置できます。10年間60%以上の蓄電容量保証されている点も魅力です。
パナソニック LJ-SF50B
- 容量:5kWh
- 設置場所:屋内
- 希望小売価格:1,280,000円
蓄電残量をモニターで確認できるため、節電意識が高まります。構造の工夫により、衝撃に強いモデル。
その他、蓄電池に関して詳しくは【太陽光発電の蓄電池とは?価格・寿命・メリットなどを詳しく解説】をご覧ください。
後付けするパワコンのご紹介
ハイブリッドタイプは電気の変換が1台を行うため、変換時のロスを軽減できます。ハイブリッドタイプのパワーコンディショナーを3点紹介します。
シャープ JH-55JT3
- 出力:5.5kW
- 変換効率:95.0~95.5%
- 希望小売価格:431,000円
コンパクトながら高出力を実現しているモデルです。クラウド連携コントローラーにより、出力制御をすることも可能です。
東芝 TPV-55HY3-M3-A
- 出力:5.5kW
- 変換効率:96.0%
- 希望小売価格:620,000円
約29kgと軽量ながら、パワーのあるハイブリッドパワーコンディショナーです。-20~50℃と使用温度範囲も広く、屋外でも問題なく使用できます。
オムロン KP48S2-HY-3A/4
- 出力:4.8kW
- 変換効率:96.0%
- 希望小売価格:オープン価格
エネルギーロスが起こりにくい「マルチストリング方式」のパワーコンディショナーです。塩害が多い地域に対応した「KP48S2-SHY-3A/4A」もあります。
【蓄電池の後付け】太陽光発電システム・蓄電池の段階的な導入予定の場合
新たに太陽光発電システムを導入しようと検討している場合、蓄電池を購入するか否かを決め切れていない方も多いと思います。
現在は固定買取価格の下落により、売電よりも自家消費していく方が主力になっていくと言われています。そのまま売電だけを行うのであれば、蓄電池を増設する必要はありませんが、将来的に自家消費に切り替える可能性がある場合は、柔軟に対応できる製品の購入がおすすめです。
例えば、パナソニックの「【住宅用】創蓄連携システムRタイプ」は、将来的な蓄電池の増設が想定されているシステムです。このような製品を最初の段階で導入しておくと、将来、住宅の状況に合わせて柔軟に蓄電池を導入できるというメリットがあります。
太陽光発電の蓄電池購入に対する地方自治体の補助金
家庭用蓄電池の購入に際して補助金や助成金を提供している都道府県・自治体があります。国からは2019年度に新たな蓄電池の補助金制度が始まる予定ですが、詳細は未定です。

自治体の補助金はそれぞれ条件や補助額が異なります。以下は自治体の代表的な補助金の例です。利用を検討している方は各自治体までお問い合わせください。
蓄電池の補助金について詳しくは【蓄電池を購入すると補助金はいくらもらえる?太陽光発電を賢く使おう(2019年度版)】をご覧ください。
東京都
助成対象の蓄電池:
- 一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)に登録されている製品
- すでに設置された太陽光システムに導入する(導入された)蓄電池
助成額:以下のいずれかの最も小さい額
- 購入費の1/2
- 蓄電容量(kWhを単位とする)×100,000円
- 600,000円
北海道札幌市
助成額:蓄電容量(kWhを単位とする)×40,000円
※上限は160,000円
蓄電池を後付けする方法についてご案内しました。
コストの問題から、最初に蓄電池を購入するのは難しいと考えている方が多いかもしれません。後付けでも問題なく設置できる方法はいくつかあるので、導入を検討してみてはいかがでしょうか。