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太陽光発電の買取価格は下がっていく?今後の価格や導入の判断材料もあわせてご紹介!

2019.5.3

数年前、買取価格が高いことから投資対象として大きな注目を浴びた「太陽光発電」。近年は、買取価格の下落でネガティブな意見が散見されるようになってきています。
今後も買取価格の下落は続くのでしょうか?
そして、これから太陽光発電を導入する価値はあるのでしょうか?

この記事では買取価格の推移と今後の動きなど、太陽光発電導入の判断材料についてお話ます。

太陽光発電の買取価格が保証されるのは10年?20年?

太陽光発電を売電する場合、買取価格は「固定価格買取制度(FIT)」で一定期間保証されています。
本制度は、太陽光発電を含む再生可能エネルギーで発電された電気を電力会社が買い取る制度です。

太陽光発電は住宅用(家庭用)と事業用(産業用)があり、それぞれ設置される場所や発電容量が異なります。固定価格買取制度の買取保証期間や買取金額も、住宅用と事業用に分けて設定されます。

家庭用の場合、固定買取価格制によって保証される期間は10年間です。この間は、発電量あたりの買取額が変わることはありません。一方、産業用の太陽光発電は20年間の固定価格が保証されています。

向こう10年、20年の買取価格は経済産業大臣が毎年度決定しています。

固定価格買取制度についてくわしくは「固定価格買取制度(改正FIT法)とは?太陽光発電の売電についてわかりやすく解説」をご覧ください。

住宅用(家庭用)太陽光発電の買取価格は?

住宅用(家庭用)に区分されるのは10kW未満の太陽光発電設備です。

2019年度は、家庭用太陽光発電に以下のような買取価格が設定されています。家庭用の場合、10年間は下記の買取価格が保証されます。

出力制御対応機器
設置義務なし
24円(1kWhあたり)
出力制御対応機器
設置義務あり
26円(1kWhあたり)

なお、出力制御対応機器の設置が義務づけられているのは、北海道電力、東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力の供給区域です。

事業用(産業用)太陽光発電の買取価格は?

10kW以上の太陽光発電は事業用(産業用)に分類されます。

買取価格が固定される期間は20年間です。2019年度の事業用太陽光発電の買取価格は以下のように改正され、年度末までに正式決定する見込みです。

10kW以上
500kW未満
14円(1kWhあたり)
500kW以上 入札により決定

10kW以上500kW未満の買取価格は2018年度と比較すると4円(22%)引き下げられました。
また、入札制度の対象は2018年度までの「2000kW以上」という条件から大幅に拡大されています。

政府は2025年度に向けて、事業用太陽光発電の買取価格を7円(1kWhあたり)まで段階的に引き下げる意向を発表しています

太陽光発電の買取価格の推移と今後

太陽光発電の固定買取価格は年々下落してきています。
固定価格買取制度が導入された2011年度の段階では、住宅用の買取価格が42円、産業用の買取価格が40円でした。
しかし、2019年度には住宅用が24円、産業用が14円と大幅な下落を見せています。(これまでの価格推移については「太陽光発電の売電価格!今後の推移や買取期間終了後の売電はどうなる?」でも紹介しています)

ここからは、太陽光発電買取価格の推移と今後についてお話します。

買取価格が下がっている背景

買取価格が下がっている背景には、太陽光発電システムの購入費用、設置費用が低下している事実があります。
つまり、導入コストに対して買取価格だけが下がっているわけではないということです。導入するタイミングにかかわらず、8~10年ほどで初期費用を回収できるように買取価格が設定されているため、価格が下落している印象を受けるのです。

また、電力会社の買取費用を「再エネ賦課金」によって国民全体で負担するようになったことも買取価格下落要因のひとつです。
将来的には、太陽光発電を含む再生可能エネルギーによる恩恵を国民全体で享受することになります。とりわけ普及が早かった太陽光発電に関しては「普及から消費のフェーズに移った段階」と言えるでしょう。

再エネ賦課金についてくわしくは「再エネ賦課金とは?再生可能エネルギー発電促進賦課金を徹底解説!」をご覧ください。

今後の買取価格はどうなる?

今後の太陽光発電による電力の買取価格はどうなっていくのでしょうか?

日本にとって再生可能エネルギーは、エネルギー自給率を上げるために必要なエネルギーです。
政府は安全性や経済効率性、環境適合性などのバランスが良いエネルギー源の確立、普及を目指しています。再生可能エネルギーの中でも将来性を期待されているのが太陽光エネルギーです。

これまでの太陽光発電の普及は、投資対象としての魅力に後押しされてきました。
上述したとおり買取価格は下がってきていますが、利回りが過度に落ちないように調整されています。なにより、投資対象としての魅力が落ち、太陽光発電の普及が妨げられることは政府にとって本意ではありません。
そのため、「2025年に7円(1kWhあたり)」という価格の引き下げ目標が発表されていますが、今後も投資対象としてのメリットがゼロになってしまうことは考えにくいです。

一方で、再エネ賦課金を含めた国民が負担する電気代は今後も大きくなっていく見込みです。
太陽光発電を導入している方は、自家消費あるいは売電でこの負担を軽減できます。買取価格が電気代を下回ったとしても、太陽光発電を有効活用する余地は十分にあると言えるでしょう。

買取価格が下がっても太陽光発電を導入すべき?

売電価格の下落が避けられないことは事実です。この事実に対し、今から太陽光発電を導入すべきなのかどうかは多くの方が頭を悩ませているのではないでしょうか。
判断材料となるのは、買取価格よりも太陽光発電の有用性でしょう。

買取価格の下落に対し、電気代単価が上昇してきているため、今後は売電よりも自家消費していくほうがお得になると考えられます。
自家消費を選択する場合、蓄電池や電気自動車などを購入したり、家の中をオール電化にしたりして、発電した電力の消費方法を増やす取り組みが重要です。
最終的には、太陽光発電だけで家庭の消費電力をすべてカバーできるような形が理想と言えるでしょう。
自家消費については「自家発電をするには?自家発電機や設備に関する情報も!」をご覧ください。

もちろん、買取価格が下落している中で売電を続けるのもひとつの選択肢です。
上述したように電力会社が太陽光発電の買い取りそのものをやめることは考えにくいです。「うまみ」は減少してしまう可能性はありますが、買取先があるということは投資対象として変わらない魅力の一つかもしれません。


単純に買取価格の推移だけを見ると、太陽光発電のメリットは少なくなっている印象を受けるでしょう。
しかし、今回ご紹介したように買取価格だけではなく導入コストも同時に下がってきています。
また、「自家消費」という選択肢があることも太陽光発電の魅力です。さまざまな可能性を考慮し、太陽光発電の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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