パワーコンディショナーとは?太陽光発電用パワコンの価格・仕組み・寿命を解説
2019.5.10

太陽光発電システムは多くの機材で構成されています。その中で重要な役割を担っているのがパワーコンディショナー(パワコン)です。
この記事では、太陽光発電の導入を検討している方に知っておいていただきたいパワーコンディショナーに関する知識についてお話しします。
そもそもパワーコンディショナー(パワコン)とは?太陽光発電に必要?
パワーコンディショナーは、太陽光のエネルギーを使用可能な電気へと変換する装置です。
「パワコン」という略称や、PCS(Power
Conditioning System)という表記も用いられています。パワーコンディショナーは、太陽光発電には必須の装置であり、太陽光発電システムには例外なく組み込まれています。
パワーコンディショナーの主な役割は、エネルギーを使用可能な電気に変換することです。製品によっては、消費しきれなかった電力を蓄電池に蓄える機能や、電気を電力会社に送電しやすい形に調整する機能を搭載しています。
太陽光発電のくわしい仕組みについては「太陽光発電の仕組みをおさらい!発電システムや産業用設備の仕組みもわかりやすく解説!」をお読みください。
パワーコンディショナー(パワコン)の仕組みと「最大定格出力」「過積載」「変換効率」
続いて、パワーコンディショナーの仕組みについてご紹介します。
太陽光を受け取る太陽光モジュールでは、直流電力が発生します。一方、日常的に使用されている一般家庭の電力は交流電力です。パワーコンディショナーは、太陽光パネルで生まれた直流電力を交流電力に変換します。
発電自体は太陽光モジュールで行われていますが、家庭でその電力を使用するためにはパワーコンディショナーで交流電力に変換しなければなりません。
以下で、パワーコンディショナーの仕組みを理解する上で知っておくべき用語について解説していきます。
パワーコンディショナー(パワコン)の仕組み①
最大定格出力と過積載
最大定格出力はその名の通り、パワーコンディショナーが取り扱える電力の最大量のことです。
太陽光モジュールの出力量よりも、パワーコンディショナーの最大定格出力のほうが小さかった場合、その差分がロスになってしまいます。
パワーコンディショナーの最大定格出力のほうが大きければ、無駄なく電力が家庭に送られます。
一方で、 太陽光パネルの出力は日射量の少ない曇りの日や冬など、天候や季節、気温など様々な要素に左右され、常に100%の出力を維持することはできません。そのため、太陽光パネルの最大定格出力とパワーコンディショナーの最大定格出力を揃えたとしても、パワーコンディショナーの容量を下回ってしまうことがほとんどです。
そこでおすすめなのが、 太陽光パネルの最大定格出力がパワーコンディショナーの最大定格出力を上回るように設計する 「過積載」という方法です。
【過積載】
太陽光パネルの最大定格出力 > パワーコンディショナーの最大定格出力
前述の発電ピーク時(太陽光パネルの出力がパワコンの出力を上回った場合)のロスは免れられませんが、パワーコンディショナーの利用効率は向上し、結果的に得をするケースが多いので、覚えておきましょう。
パワーコンディショナー(パワコン)の仕組み②変換効率とは?
変換効率はパワーコンディショナーの性能のひとつです。
直流電力から交流電力に変換する際には必ずロスが生じます。変換効率は、もとの電力量に対する変換後の電力量の割合です。
現在流通しているパワーコンディショナーは、住宅用、産業用を問わず95%程度の変換効率を実現しています。
その中でも三菱電機製パワーコンディショナーの変換効率は97.5%に到達しており高評価です。パワーコンディショナーによって変換しきれなかったロスの電力は、熱として排出されます。
水を凍らせるケースを例に説明しましょう。
5リットルの水を冷凍庫Aで凍らせた場合、蒸発によって4.5リットルの氷ができましたが、冷凍庫Bで凍らせると4.8リットルの氷ができあがりました。この場合、冷凍庫Bでの蒸発の方が少なく、効率が良いということです。
パワーコンディショナーも、ロスを少なくするため、少しでも効率が良い製品を選ぶことが大切です。
パワーコンディショナー(パワコン)の仕組み③最大電力点追従機能 (MPPT)とは?
最大電力点追従機能(MPPT)とは、一般的なパワーコンディショナーに搭載されている機能のひとつです。
日射量、天候、温度など、太陽光発電では常に環境が変化し、その変化に応じて電圧と電流も変動します。MPPTは、最大の電力が発電される電圧と電流の組み合わせ(最大出力点)を見つけ、安定して電力を供給するための機能です。
パワーコンディショナー(パワコン)の仕組み④自立運転機能とは?
自立運転機能も、パワーコンディショナーの機能のひとつです。
自立運転機能があれば、停電が起きた際も太陽光発電の電気を使うことができます。自立運転コンセントを使うか、パワーコンディショナーに機器の電源プラグを差し込むことで、発電された電力を利用できます。
ただし、リアルタイムで発電されていることが条件のため、自立運転機能が搭載されていても夜間は電気を利用できません。夜間に太陽光発電による電気を使うためには、別途で蓄電池が必要です。
蓄電池については「太陽光発電の蓄電池とは?価格・寿命・メリットなどを詳しく解説」の記事をご覧ください。
パワーコンディショナー(パワコン)の価格は?
家庭用太陽光発電システムのパワーコンディショナーは、最大出力3.0kW、4.0kW、5.5kWの製品が主流です。
3.0kWの製品は10万円~、4.0kの製品は12万円~、5.5kWの製品は14万円~といった相場で販売されています。同じ最大出力でも、変換効率や搭載効率によって価格は変動します。
商品の比較サイトなどを見てみると、パナソニックの4.0kW製品である「VBPC240AA」は96%の変換効率を実現しながら価格は12万円台と手ごろなことから人気の製品です。オムロンの5.5kW製品「KPV-A55-J4」も14万円台で購入できます。
パワーコンディショナー(パワコン)の寿命は?
太陽光発電設備の法定耐用年数は17年です。
これはあくまで減価償却するための基準の年数であり、実際の寿命とはあまり関係ありません。使用環境やメンテナンスによって寿命は変動します。
実際のパワーコンディショナー単体の寿命は、10~15年だと言われています。
対して、太陽光パネルの寿命は20~30年です。通常はパワーコンディショナーの寿命のほうが早く訪れるため、太陽光パネルの交換前に一度はパワーコンディショナーを交換することになるでしょう。
太陽光発電で多くの電力を得るためには、システムを構成している機材に注目することが大切です。パワーコンディショナーは太陽光パネルと同程度、発電量に影響します。
市場には多くのパワーコンディショナーが流通しており、購入者の方にとっては選択肢が広がりました。太陽光発電を導入する際は、今回の記事を参考にパワーコンディショナーを選んでみてください。