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太陽光発電における過積載のメリットや注意点を把握して最適化を目指そう!

2019.8.23

家庭用の太陽光発電では、「過積載」が主流となってきています。

過積載は、収益メリットが見込める方法ですが、「過剰に積む」という言葉から、「危ないのではないか?」と心配している方もいらっしゃるかもしれません。

そこで今回は、過積載について解説します。
過積載の基礎知識からメリット・デメリット、実施の際の注意点などについて、詳しく説明していきます。

5分程度で読めますので、ぜひご一読ください。

太陽光発電の過積載とは?

一般的には、「過積載」とはトラックの最大積載量を上回る、大量の積載物を積む違反行為のことを指しています。

一方、太陽光発電における「過積載(かせきさい)」とは、パワーコンディショナーの容量よりも、ソーラーパネルの容量を大きくし、一日の総発電量をアップさせる設計のことです。「積み増し」と呼ぶこともあります。

パワーコンディショナー(パワコン)とは、ソーラーパネルで作り出した電気を、実際に使える形に変換する機器のことです。パワコンについては、「パワーコンディショナーとは?太陽光発電用パワコンの価格・仕組み・寿命を解説」 で詳しく解説しています。

具体的な過積載の例としては、「容量が49.5kWのパワコンに対し、パネルの容量は99kWにする」といった具合です。

発電量が増えれば、それだけ売買できる電気量が増えることになり、売電収入が多くなることが期待できます。

このように、太陽光発電においては決してネガティブな意味ではありませんので、ご安心ください。

過積載比(率) を知っておこう!

どれくらい過積載されているかを表しているのが過積載比(率)です。過積載比1.5倍や過積載率180%などと示されるのは、以下の計算から割り出しています。

過積載比の計算式

過積載比(率) は、使用するパワコンを選ぶ際に役立ちますので、知っておいた方が良いでしょう。

太陽光発電で過積載をするメリットは?デメリットはあるの? 

では、太陽光発電で過積載をすると、どのようなメリットがあるのでしょうか。簡単に言えば、過積載をすることで、発電できる電気量が増えるというメリットがあります。

ここで、過積載の有無による発電量イメージを見てみましょう。

発電量イメージ

上図からわかる通り、一般的な太陽光発電システム(過積載をしない場合)の1日における発電量は、昼を頂点として山のようなカーブを描きます。

ここでいう頂点とは、パワコンの「定格出力」、つまり機器が安全に達成できる最大の発電出力を指します。

図を見ると分かるとおり、過積載をしない場合(平時の場合)では、切り捨てられる発電量はゼロであるものの、パワコンが定格出力に達し最大限稼働して発電している時間は、あまり長くありません。

一方、過積載をしたケースでは、パワコンの定格出力を超える時間があるため、一部の発電した電力は切り捨てられてしまいます。しかし、全体的にパワコンの稼働が活発になることで、1日のトータル発電量がアップしています。

メリットデメリット

過積載のメリット

過積載をした場合のメリットをまとめると、

  • 発電量が増えて収益(売電している場合)が上がる
  • パワコンの設備利用率が上がる

などが挙げられます。

繰り返しになりますが、過積載を行うことで、発電量が増えます。それだけ売買できる電気量も増えることになり、収益アップにつながる可能性が高いです。

また、パワコン設備利用率も上がります。

設備利用率とは、ある一定期間において、発電設備が最大の力で出力し続けた場合の発電量に対する、実際の発電量の割合を指します。

前述の図を見て分かるとおり、過積載をしていない場合は、パワコンが定格出力に達することはほとんどなく、その性能を利用しきれていません。

しかし、ソーラーパネルの容量を増やし過積載することで、パワコンの性能を効果的に利用できることになります。

過積載のデメリット

では、過積載をした場合のデメリットにはどのような点が挙げられるのでしょうか。過積載は良いことずくめに見えますが、気をつけなければならない点もあります。

デメリットとしては、

  • 太陽光パネルの購入費用が増える
  • ピークカットで発電した電力を捨てることになる

などが挙げられます。

まず、発電容量が大きい太陽光パネルを選ぶということは、購入費用が高くなるということです。その点を考慮して、予算を考える必要があります。

また、発電しすぎた分の電力は、無駄になってしまいます。

天候など、極めて条件が良い日は、ピークカットが起きる場合があります。「ピークカット」とは、パワコンで処理できる容量を上回った場合に、その余剰分を捨てる(カットする)ことです。

ピークカットされた分の電力は、売ることができません。

ただ、先ほど説明した通り、過積載によって朝や夕方の時間帯における発電量も全体的に上がっているため、全体としての売電収入はアップします。

実際のところ、日本の年間発電量において、ピークカットを超える日は少ないといわれています。
そのため、基本的には過積載をしたほうが、多くの電力を売れるということになります。

過積載時の注意点は?リスクはあるの?

過積載時には、以下のポイントに注意する必要があります。

  • 初期設計時のコストバランス
  • パワコンのメーカー保証
  • 事後的過積載は違反になる

それぞれについて、さらに詳しく解説します。

初期設計時にコストバランスを考えよう

太陽光発電は、自家消費のみという場合を除いて、投資の一種です。ですから、初期投資が回収できなければ、支出が無駄になってしまいます。

そのため、初期設計時におけるポイントとして、

  • 太陽光パネルにかかるコストと収益(売電収入等)のバランス
  • 売電価格と年間発電量
  • ピークカットでどれくらい電力を捨てなければいけないのか

などを検討する必要があります。

つまり、売電量が増えるからといって、やみくもに積めばいいというわけではありません。

また、電力の買取価格は年々下がっている点も、考慮しなければなりません。

パワコンのメーカー保証を確認

過積載を検討するときは、パワーコンディショナーのメーカー保証範囲をチェックして、保証対象外になるのを避ける必要があります。

パワコンを選ぶ際は、過積載に対するメーカー保証がある機器の利用がおすすめです。

  • 過積載率は何パーセントか?
  • 接続容量の制限はどれくらいか?
  • 低圧(または高圧)の太陽光発電システムでも問題ないか?
  • 違うメーカーのパネルを接続できるか?

など、疑問に思う点は必ず、過積載をする前に確認しておきましょう。

事後的過積載は違反になるので注意!

事後的過積載とは、FIT制度の認定を受けた後に、認められた容量を超えた積載(太陽光パネルの増設)を行うことを指します。

2018年の8月31日に法律が改正され、産業用(10kW以上)の太陽光発電設備に対し、以下のケースで規制が設けられました。

FIT制度認定後に認定された容量について、

  • 太陽光パネルの合計出力が3kW以上増加するか、あるいは3%以上増加する場合
  • パネル容量を変えるなどで、発電出力を20%以上減らす場合

設備認定後に合計出力を変更すると、買取価格引き下げなどが行われる可能性がありますので、申請を受ける際は注意しましょう。

また、合計出力が変わる場合は、数値に関わらず、すべて変更認定申請が必要です。

なお、これらの規定は、10kW未満の住宅用発電設備は対象外となっていますので、投資用として太陽光発電を検討している方は、ご注意ください。


太陽光発電における過積載は、売電による収益を上げたい場合に効果的な方法です。
初期導入時に、太陽光パネルの購入コストが増えるなどの注意点はありますが、全体的な発電量の増加や収益アップといったメリットがあります。

太陽光発電システムを効果的に活用したいならば、ぜひ過積載を検討してみてはいかがでしょうか。

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