太陽光発電の名義変更を行う際の必要書類と注意点について解説
2020.12.16

太陽光発電を引き継ぐケースによって、必要書類や注意すべき点は異なります。準備に時間のかかる書類もあり、直前になって急いで揃えようとすると、書類不備や記入漏れなどで申請が長引いてしまい、貴重な時間や労力が余計に費やしてしまう恐れもあります。
そこで本記事では太陽光発電で名義変更が必要なケースや、名義変更に必要な書類、注意点についてご紹介します。
太陽光発電で名義変更が必要になるのはどんな時?必要書類も
太陽光発電を売買、相続する場合、名義変更が必要です。太陽光発電の名義変更が必要なケースには、おもに以下の3つがあります。どのケースに当てはまるかによって、必要な申請や書類、手続きが異なります。自身に該当する部分のみチェックしてみてください。
- 事業譲渡(生前贈与を含む)
- 相続
- 氏名変更
事業譲渡(生前贈与を含む)
最も多くの方に当てはまるのが、事業譲渡によって名義変更が必要となるケースです。太陽光発電が設置された物件を購入した場合や、他社から発電所の譲渡を受けた場合が含まれます。
〜必要書類〜
- 譲渡契約書or譲渡証明書の原本
- 双方の履歴事項全部証明書の原本(法人の場合)
- 双方の住民票の写し、住民票記載事項証明書もしくは戸籍謄本の原本(個人の場合)
- 双方の印鑑証明書の原本
- 土地登記簿謄本の原本、不動産売買/賃貸借契約書など土地の取得を証明できる書類
- 破産管財人証明書(破産による譲渡の場合)
相続
太陽光発電の所有者が亡くなり、親族などが所有権を引き継ぐケースです。
所有者の遺言書に発電所の相続者に関する記載がない場合は、法定相続人全員で、遺産分割協議を行います。よって、相続での名義変更では、法定相続人全員分の書類が必要になります。
〜必要書類〜
- 戸籍謄本(被相続人のみ)
- 戸籍謄本・印鑑証明書の原本(法定相続人全員)
- 遺産分割協議書or相続人全員の同意書
氏名変更
太陽光発電システムの所有者の姓名が変わるケースです。
所有者が変わらずとも、所有者の氏名が変わる際には、名義変更が必要です。結婚や離婚などのケースが当てはまります。
〜必要書類〜
- 戸籍謄本の原本
- 印鑑証明書の原本

太陽光発電では何の名義変更が必要?
太陽光発電は、住宅用太陽光発電と産業用太陽光発電に分類されます。
発電量が10kw未満の太陽光発電を住宅用太陽光発電といい、主に一般住宅の屋根や屋上についているものが該当します。一方、10kw以上の太陽光発電を産業用太陽光発電といい、どちらの太陽光発電かによって、必要な名義変更や書類が異なります。
以下の記事項目では住宅用太陽光発電と産業用太陽光発電で必要な名義変更と書類をまとめました。
住宅用太陽光発電の場合
住宅用太陽光発電の場合は、以下2つの名義変更が必要です。
- 事業計画認定の設置者
- 売電契約
事業計画認定の設置者
事業計画認定の設置者の名義変更に必要な書類は、生前贈与の場合は「事業譲渡(生前贈与も含む)」、相続の場合は「相続」にまとめています。
売電契約
売電契約の名義変更方法や必要書類は、電力会社によって異なります。各電力会社に問い合わせてみてください。
産業用太陽光発電の場合
産業用太陽光発電では、以下7つの名義変更が必要です。
- 事業計画認定の設置者
- 売電契約
- 土地登記簿
- 遠隔監視装置
- 施工保証契約、メンテナンス契約
- 損害保険
- メーカー保証
事業計画認定の設置者と売電契約の名義変更方法や必要書類については「住宅用太陽光発電の場合」でまとめたものと同じです。
土地登記簿
土地登記簿の名義変更手続きは、法務局で行います。土地登記簿の名義変更は、他の名義変更と比べても手続きが複雑です。代行業者や司法書士などに依頼することをおすすめします。
遠隔監視装置
遠隔監視装置は、ネット回線でつながっています。よって前の所有者の回線を解約した後、新規に回線を契約してください。
施工保証契約、メンテナンス契約
設置業者による保証を付けている場合は、所有者が変わっても契約が継続されているのかを確認しましょう。継続されるのであれば新たな所有者に名義変更を、そうでなければ新規で契約しましょう。
損害保険
損害保険は一度解約して、新たな損害保険に入り直す必要があります(相続は例外)。
メーカー保証
メーカー保証期間内であれば、名義変更をしてそのまま保証を引き継げます。必要書類はそれぞれ異なるので、メーカーに問い合わせてみましょう。
太陽光発電が50kw未満であれば、電子申請を行えます。電子申請はJPEA代行申請センターから行ってください。

太陽光発電の名義変更を行う際の注意点
太陽光発電の名義変更を行う際に注意すべき点を解説します。
- 売電価格および売電期間は更新されない
- 贈与税が発生する場合がある
- 名義変更の申請には時間がかかる
以下で、詳しくご説明します。
売電価格および売電期間が引き継がれる
売電価格と売電期間は、前の所有者が契約したものをそのまま引き継ぐ形になります。名義変更によって、売電価格が変更されたり、売電期間がリセットされたりすることはありません。
例えば、売電期間20年の産業用太陽光発電システムで、前の所有者が10年間ほど売電を行った後に譲渡された場合、新たな所有者に与えられる売電期間は、残りの10年間です。
贈与税が発生する場合がある
生前に財産を贈与する際には、贈与税を支払わなければなりません。太陽光発電システムの所有者として配偶者や家族などに名義を変更すると、贈与税の課税対象となります。
なお、「縁の贈与」という優遇税制を適用することで、最大3,000万円の贈与税が非課税となります。
名義変更の申請には時間がかかる
必要な書類を揃えて申請をしても、すぐに名義変更が完了するわけではありません。名義変更がどのケースに該当するかにもよりますが、申請完了には約3〜5ヶ月の期間を要します。
所有者の死去による相続などでは、名義変更の準備が難しい場合もありますが、計画的に名義変更をおこなう場合は、申請完了までにかかる期間を見越し、名義変更の予定を立てましょう。
また、必要書類を揃えるのに時間がかかれば、より長い期間を要します。書類も準備できるものは事前に準備しておいた方が良いでしょう。

太陽光の名義変更は代行業者に依頼してもOK
個人でも太陽光発電の名義変更手続きは可能です。しかし、名義変更手続きには、必要な項目や書類が多く、専門的な内容も多くあります。そのため、書類を集めたり、適切な申請を行ったりするためには、予想以上に時間や労力がかかってしまいます。
個人で対応するのが不安な方は、太陽光発電の販売業者などに代行を依頼するのもひとつの手です。
以下のようなケースに当てはまる方は、代行業者に名義変更の手続きの依頼を検討してみてはいかがでしょうか。
- スムーズに対応し、早く売電したい
- 自分だけで対応するには不安
- 手続きを行う時間が取れない
太陽光発電の名義変更について、必要な書類や注意点について解説しました。
名義変更には複数の書類を準備する必要があるので、集められる書類は事前に準備しておくことが大切です。また、自身で手続きを行うのが不安な方は、代行業者に依頼することを検討しましょう。