太陽光パネルのメンテナンス費用と方法は?義務化されている?
2020.3.26

太陽光パネルのメンテナンスは、改定FIT法によって義務付けられています。住宅用だけではなく、産業用の太陽光パネルでもメンテナンスをおこなわなければなりません。
この記事では、太陽光パネルのメンテナンスの必要性やメンテナンス業者の選び方、メンテナンスにかかる費用の相場などを解説します。
太陽光パネルのメンテナンスの必要性とは?
太陽光パネルのメンテナンスは、改定FIT法で義務化されています。もしメンテナンスを怠ると、最悪の場合、FIT認定が取り消されてしまう可能性があります。
改定FIT法とは「固定価格買取制度」、すなわち、太陽光などの再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定期間に一定価格で買い取るという法定の制度です。
FIT法についてさらに詳しく知りたい方は、「固定価格買取制度(改正FIT法)とは?太陽光発電の売電についてわかりやすく解説」をご覧ください。
太陽光パネルのメンテナンスを行うことで以下の効果が得られます。
- 太陽光パネルの故障や事故を防ぐ
- 太陽光パネルの寿命を延ばす
- 発電効率を上げる
太陽光パネルは屋外に設置されるため、常に風雨や紫外線にさらされています。
そのため、気候の変化や鳥のフンなどで気づかないうちに傷ついたり、汚れたりしている可能性があります。
そのまま破損や汚れを放置していると、パネルの故障につながるだけでなく、落下や発火といった事故の危険性が高まります。トラブルを避けて、安全に発電事業を継続するためにも、メンテナンスは必要になるのです。

また、パネルが汚れると、効率のよい発電ができず、発電量が減り、結果的に、売電量の減少につながってしまいます。
メンテナンスにより、パネルを綺麗な状態に保つことで、発電効率の低下を防げます。
このように、太陽光パネルのメンテナンスは義務であるとともに、安全で効率的な発電のために必要な作業です。
太陽光パネルのメンテナンス費用は?依頼する業者ごとに紹介
メンテナンスにかかる費用は、業者やチェックしてもらう項目によって変わってきます。
そこで、太陽光パネルの設置業者に頼む場合と、メンテナンスの専門業者に頼む場合の2パターンについて解説します。
なお、太陽光パネル単体をメンテナンスすることは少なく、パワーコンディショナーや配線などを含む設備全体を点検する場合が多いようです。また、気になる、メンテナンス費用の相場は、10kW未満の太陽光発電設備では、概ね1回2万円程度となっています。1,000kW 以上での平均値は、年間で1kWあたり0.63万円となっています。(参考: 調達価格等算定委員会「平成31年度以降の調達価格等に関する意見」)
太陽光パネルのメンテナンス時期については、「太陽光パネルの価格・寿命・設置メリットを解説【太陽光発電の基礎知識】」をご覧ください。
太陽光パネルの設置業者に依頼する場合
太陽光パネルの設置業者にメンテナンスを依頼する場合、以下のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
- 比較的費用を安く済ますことができる
- 無償のメンテナンスを受けられる場合がある
- パネルの交換や修理の際に保証がある
デメリット
- 設置業者によって保証の範囲が違う
- 専門業者でないため手の届かない箇所の発生や対応の遅れが発生する可能性がある
もっとも大きなメリットは、「費用が安い」ということです。
メーカーの保証期間内であれば交換費用が無料になる場合もあり、ランニングコストを少しでも抑えたいのであれば、魅力的といえるでしょう。
ただし、設置業者のメイン業務はあくまで設備設置であるため、「故障内容によっては修理できない」「緊急時の対応が不十分」となる可能性もあるので注意が必要です。

メンテナンスの専門業者に依頼する場合
メンテナンスの専門業者に依頼する場合、以下のメリットとデメリットが挙げられます。
メリット
- 専門知識が豊富で、対応が早い
- 資格が必要なメンテナンスにも対応してくれる可能性が高い
デメリット
- 費用がやや高い
- 下調べを行い、業者を精査する必要がある
専門業者による点検や修理交換は、太陽光パネルの設置業者に比べて、費用はやや高くなります。
しかし、豊富な専門知識と技能があるほか、緊急時対応や補償サービスが充実しているなど、メリットが多いです。
業者によって施工実績や取り扱うメーカーの数、補償対応などが異なるため、業者を選ぶ際は資料請求や見積もり合わせを行い、精査することが大切です。
太陽光パネルのメンテナンスの方法とは?
太陽光パネルの設置業者・メーカーによるメンテナンスの主な方法には、以下の3種類があります。
- 定期点検
- パネルの修理、交換
- パネルの清掃
それぞれについて、内容を詳しく見ていきましょう。
一般社団法人太陽光発電協会が作成した「太陽光発電システム保守点検ガイドライン【10kW以上の一般用電気工作物】」によると、定期点検は、日常巡視では確認できない設備の劣化や損耗などについて、専門技術者が4年に1回以上実施するもの、とされています。
具体的には、太陽電池モジュール(パネル)やパワーコンディショナー、架台などについて、それぞれを「目視」と「操作」によってチェックします。
定期点検ではパネルだけでなく、周辺機器も点検対象に含まれますので注意してください。

太陽光パネルに損傷がある場合は、修理や交換作業を行います。
なお、保証期間内であれば、パネルだけでなくパワーコンディショナーなども無料で修理等に対応してくれる場合があります。
太陽光パネルが汚れている場合は、清掃作業を行います。
マイクロファイバーや洗浄機器を使って、パネル表面のガラスが傷つかないように綺麗にしています。最近では、清掃ロボットも活用されています。
太陽光パネルのメンテナンス時の注意点
「業者にメンテナンスを頼むと費用がかかるから、自分でやろう」と考える方がいるかもしれません。
しかし、自力でメンテナンスしようとするのは危険です。
屋根からの落下事故や感電のリスク、不慣れな作業や専門用具を使わないことによるパネル損傷リスクなどがあります。また、自力でのメンテナンスによりパネルなどを壊してしまった場合、メーカー保証の対象外になってしまうリスクもあります。
このように、自力でのメンテナンスは危険をともなうため、作業はプロに依頼しましょう。
もし早期に不具合を見つけられれば、本格的に故障する前に対応できます。
太陽光パネルの汚れを確認したり、発電量をチェックしたりするなら、遠隔監視システムの導入がおすすめです。
遠隔監視システムは、パソコンやスマートフォンなどを利用し、リアルタイムで太陽光発電の状態をチェックできるサービスです。
故障などのトラブルが発生した場合はメールなどで通知してくれるほか、設置業者やメンテナンス業者と連携してスピーディに対応できるといったメリットがあります。
太陽光パネルのメンテナンスは義務であり、必ず行う必要があります。費用は依頼業者やチェック方法によって変わってきます。この記事を参考に、ぜひメンテナンス計画を検討してください。