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太陽光発電システムの接続箱とは?役割や種類、選び方、設置場所を解説

2020.8.26

接続箱は、太陽光パネルとパワーコンディショナーの間に設置されている機器で、両者を接続する役割を果たしています。

この記事では、接続箱とはどんなものかを太陽光発電システムの仕組みからまとめ、接続箱の種類、さらに接続箱の選び方や設置の注意点について、わかりやすく解説します。

接続箱とは?太陽光発電での役割を解説

接続箱とは、太陽電池モジュール(太陽光パネル)ごとに発電した電気をまとめ、パワーコンディショナーに送る機器です。

太陽光発電システムの仕組みを簡単に説明すると、以下の通りです。

まず、太陽光パネルに光が当たることで、光電効果により電流が発生します。発生した電流は、太陽光パネルに接続された配線に流れます。このとき通常の太陽光発電システムでは、複数のパネルを1ブロック(ストリング)として、複数のブロックで構成され、1ブロックごとに1組(プラスとマイナス)の配線が伸びます。つまり、ブロックの数が多いほど、配線数が多くなります。

産業用のような巨大な太陽光発電システムにおいて、これらの多くのブロックを直列に接続することで配線数をまとめようとすると、電圧降下により発電した電力が無駄になってしまいますし、各ブロックと接続箱を接続するPVケーブルは、直列接続による長距離配線に向いていません。

そこで、各ブロックから出ている配線を1組にまとめ、パワーコンディショナーに接続するために用いるのが接続箱です。太陽光パネルで生み出される電流は直流ですから、パワーコンディショナーにより交流電流に変換され、分電盤を通じて各部屋や電気メーター、蓄電池に供給されます。

接続箱の仕組み

基本的には以上の通りですが、接続箱とパワーコンディショナーの機能が一体化した製品も販売されています。また、開閉器や電気の逆流防止機能が付いた製品もあり、避雷機能などの役割もはたしています。

また、産業用メガソーラーの場合、ブロック数が多いため1つの接続箱で配線をまとめるのではなく、太陽光パネルの配線を複数の配線箱でまとめ、さらにそれらを配線箱で1つにまとめることもあります。

このように接続箱を多層にしたときに、複数の接続箱の配線をまとめる接続箱を「集中箱」や「集電箱」といいます。

太陽光発電についてより詳しく知りたい方は「太陽光発電システムの基本知識【よくわかるまとめ】」を併せてご覧ください。

太陽光発電システムで使う接続箱の種類

接続箱は、太陽光発電システムの規模によって産業用と家庭用、設置場所によって屋外設置用と屋内設置用に分類されます。

一般に発電容量が10kW未満のシステムを家庭用太陽光発電、10kW以上のシステムを産業用太陽光発電といいますが、小規模の家庭用太陽光発電システムであればパワーコンディショナーに接続箱が一体化しており、接続箱を設置しないこともあります。

家庭用接続箱は直射日光や雨の当たらない軒下や、屋内に設置する場合が多くなっています。産業用接続箱はシステムの構造によっては日光や雨にさらされることもあるため、直射日光下に強いタイプのモデルが販売されているなど、用途に合うように工夫されています。

太陽光パネル

また、接続箱にはそれぞれ、最大入力電圧と呼ばれる入力上限があります。

産業用のような大規模な発電容量を持つシステムにおいては、最大入力電圧の高いものを選ぶのが普通ですし、集電箱を用いて複数の接続箱の配線をまとめるように設計します。

現在、屋内用と屋外用比較すると、屋外用接続箱の方が広く普及しています。屋外に設置すると直接、日光や雨風にさらされると不都合なため、防水処理などを施しており、値段がやや高くなりますし、屋外設置用であっても軒下の外壁側面などに設置します。

一方、接続箱を屋内に設置する場合は、各ブロックから伸びている複数のケーブルをそのまま屋内に通すことになるため、屋外に設置する場合より外壁に大きな穴をあける必要があります。

屋外設置用の接続箱であれば、接続箱で配線をまとめた後に屋内に引き込むため、比較的小さな穴ですみます。

設置モデル

接続箱で気を付けるべき選び方と設置場所のポイント

現在、様々なメーカーから接続箱が販売されています。設置する場所には守っておくべきポイントがあります

以下では、接続箱を選ぶときに気を付けておくべき点や、設置場所のポイントをまとめます。

接続箱の選び方

接続箱は太陽光パネルからパワコンに接続するための装置であり、太陽光パネルで発電された電力を出来るだけロスなくパワコンに送ることが大切です。

もちろん機能性の高い接続箱の方がエネルギーロスを減らすことができる可能性が高いですが、そのシステムの許容量を大きく超える接続箱を選ぶ必要はありません。

接続箱を選ぶ際には、昇圧機能の有無、最大入力電圧、防水・防滴、放熱性に注意しましょう。

接続箱の昇圧機能とは、接続箱につながれたブロックの電圧を揃えるために、電圧の低いブロックの電圧を上げる機能です。

太陽光発電システムにおいて、日陰の影響や、設計上パネルの数が不揃いのため各ブロックの電圧が揃っていないとき、単純に接続箱に並列接続すると、電力ロスが発生しますが、昇圧機能によってこれを緩和することができます。

ただし、昇圧機能自体でも多少の電力ロスは生じますから、設計段階でできるだけ低電圧のブロックが発生しないようにする方が、効率が良いシステムと言えます。

屋外設置

次は最大入力電圧についてです。

最大入力電圧が高い機器ほど、1つのブロックを高電圧になるように設計できるため、多くのパネルを1つのブロックにまとめられます。

多くのパネルを1ブロックにまとめられれば、並列に接続するブロック数が少なくなりますから、先に説明したような電力ロスのリスクは少なくなります。

接続箱の定期的な点検やメンテナンスは必須ですが、防水・防滴性や放熱性など故障に強いことも、選ぶ際のポイントでしょう。特に屋外に設置する場合は、防水・防滴性を持つ機器を選ぶことが重要です。

接続箱の設置場所

接続箱の設置場所についても、注意すべきポイントがいくつかありますが、基本的な考え方は接続箱の選び方と同じで、「電力ロスを少なくすること」と「故障しにくい・メンテナンスしやすいこと」が大切です。

パワーコンディショナーの位置との兼ね合いもありますが、配線が長いと電力ロスが大きくなりやすくなりますから、太陽電池モジュール(パネル)と接続箱は近いところに設置するとよいでしょう。

また、産業用太陽光発電において複数の接続箱を用いる場合は、それぞれの接続箱につなぐ電圧をなるべく同じにした方が、集中箱で配線を集中させたときのロスも少なくなります。

接続箱は他の機器と同様、定期的なメンテナンスが必要ですし、故障しにくいような管理も必要です。そのため、メンテナンスしやすい場所に設置することが大切です。

さらに、熱がこもらず風通しの良い涼しい場所に設置するとよいでしょう屋外に設置する場合は直射日光や雨の当たらない場所に設置することで故障の原因から遠ざけられます。

接続箱設置位置

先に説明したとおり、設置費用がすこし高くなりますが、屋外に設置する場合は防水・防滴のモデルを選んだ方が安全です。雨などの影響を考えると接続箱を屋内に設置するのも有効ですが、複数の配線を屋内に引き込まなければならないため、壁に穴をあける必要があります。


この記事では、太陽光発電システムの接続箱についてお伝えしました。

接続箱は太陽電池モジュール(太陽光パネル)のブロック(ストリング)に接続された配線をまとめ、パワーコンディショナー接続する機器です。

パワーコンディショナーと一体になったモデルも販売されています。接続箱を設置する際は「電力のロスを少なくすること」と「メンテナンスしやすい・故障しにくいこと」に注意しましょう。

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