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太陽光発電システムでの「架台」とは?種類、追尾式架台、架台基礎を解説

2020.1.23

太陽光発電システムのなかに「架台(がだい・かだい)」という構成要素があります。架台とは、簡単にいえば太陽光パネルの設置台です。システムの安定性・効率を左右するため、慎重に選ばなければなりません。

太陽光発電協会(JPEA)は、架台・基礎の設計基準として「地上設置型太陽光発電システムの設計ガイドライン」を定めています。その中で、架台は安定構造を基本とするとしており、安全性の高い構造を推奨しています。

なお、太陽光発電システムの構成について大まかにおさらいしたい方は、「太陽光発電の仕組みをおさらい!発電システムや産業用設備の仕組みもわかりやすく解説!」をお読みください。

この記事では、架台の概要や選ぶ際のポイント、効率的な発電を実現する「追尾式架台」についてお話しします。

架台とは何か?太陽光発電システムでの意味を解説

一般的に「架台」とは、電気機器を置くための金属製の台のことです。太陽光発電システムにおいては、太陽光パネルを設置するための台を指します。住宅用、産業の野立てなど設置環境を問わず、太陽光発電システムに必要な機器のひとつです。

太陽光を少しでも効率よく受け取ることが好ましい太陽光発電システムにおいて、架台の役割は重要です。例えば、日陰になりやすい現場では、架台によってパネルに高さや角度を出すことで調整します。また、雪が多い地域では、積雪対策として高い架台を設けることもあります。

設置の際は、JPEAのガイドラインが基準となりますが、実態としては、架台を含めた太陽光発電システムは、ほとんどの場合、専門の業者が設置します。業者の技術力やサービスは太陽光発電システムの発電効率に影響するため、依頼する業者の選定は非常に重要です。また、業者による施工の甘さからパネルが沈んでしまう、落下してしまうといったトラブルも起こり得ます。

さらに、積雪、台風など自然災害に対する安全を考慮した設計も必要です。想定される災害に応じて、さまざまな材質、強度、高さの架台が選ばれています。

太陽光発電システムに合った架台を選ぶ際のポイントは?

架台選びは、太陽光発電システムの発電効率だけではなく、耐久性、安全性にも関わります。JPEAのガイドラインが基準となりますが、ここでは、主に産業用太陽光発電システムに関して、架台選びのポイントについてお話しします。

野立て用架台の種類

太陽光パネルは重いため、それを支える架台は価格に加え、安全性を考慮して選ばなければなりません。また、野立て用の架台は、天候の変化などにも耐えるものでなければなりません。

こうした条件から、一般的に、以下のような架台が採用されています。

スチール製

スチール製架台は強度の高さで評価されています。また、本来、スチールは錆びやすいですが、通常は防錆の加工が施されて導入されるため、さほど問題になることはありません。一方で、重量による加工の難しさ、コストの大きさなどがネックになります。

アルミニウム製

アルミニウム製架台は軽さ、軽さ、錆びにくさ、加工性に優れています。リサイクルが可能なことから、撤去費用を抑えることもできます。ただし、他の素材と比較すると強度が劣るため、成型により強度を高める工夫が必要です。

単管パイプ

工事用の単管パイプで架台を構成することもできます。パイプとクランプはホームセンターでも手に入るため、自作する方もいるようです。

架台の種類

また、破損が起きた際は必要箇所の部材のみを交換すればよいため、メンテナンス性に優れているともいえます。ただし、強度について具体的に証明することが難しく、設計基準に準拠しているか確認しづらいというデメリットもあります。

さらに、 防錆の観点から溶融亜鉛メッキ処理は必須になりますのでご注意ください。

架台基礎の種類

架台は基礎工事を行ったうえで設置します。基礎工事に不備があると、破損したり、架台が抜けたりしてしまう可能性があるため、こちらも安全面に注意が必要です。

基礎部分の種類としては、以下のようなものが挙げられます。

コンクリート基礎

コンクリート基礎とは、その名のとおりコンクリートを基礎に利用する工法です。耐久性に優れており、過酷な環境下の基礎としては信頼されています。一方で、工期の長さやコストの高さなどが問題です。

以下は代表的なコンクリート基礎の種類です。

  • 置き基礎

コンクリートブロックを地面に置き、それを基礎として架台を建てるもの。コストが安く土地の復旧もできるが、安定性はやや劣る。

  • ベタ基礎

コンクリートで床のようにつながった土台を作るもの。安定性に優れるがコストが高い。

  • 布基礎

地中にコンクリートの一部を入れ込み、安定性を増す方法。比較的コストが安く、最も用いられている。

杭基礎

地面に杭を打ち込み、基礎として利用する工法もあります。柔軟性に富み、斜面や凹凸がある環境でも設置しやすいのがメリットです。一方で、強度や耐久性の点でコンクリート基礎に劣ります。

以下、は代表的な杭打ち基礎の種類です。

  • 単管パイプ基礎

単管パイプを地中に埋め込み、基礎と一体の架台として用いる。

  • スクリュー基礎

ネジのついた「スクリュー杭」を地面に埋め込み、基礎にする。

  • ラミング工法

直接架台用の杭を地中に打ち込み、支柱を固定し、基礎にする。傾斜地などに適しているが、用地のコンディション次第では採用できない。

架台は「災害対策」も必要

中長期的な運用が求められる太陽光発電システムの架台を設置する際には、災害対策も意識しなければなりません。導入地域・現場によって必要な対策は異なります。

例えば、積雪量が多い地域であれば、雪でパネルが埋まる事態を防ぐために、少なくとも1m以上の高さのある架台が必要だと考えられています。また、雪が滑り落ちるようにパネルの角度を大きめに調節することも大切です。

また、沿岸部などでは、塩害の被害も考えられます。サビへの耐性に優れるステンレス製の架台が最適です。

台風の際に浸水が予想される場合は、近隣に影響しない範囲で高く設置します。強風に耐えるためには、強度を増し、パネルの角度を地面と水平に近く変えることも求められます。

効率的に発電できる「追尾式架台」とは?

より効率的に発電を行うため、日中に出ている太陽の位置によって最適なパネルの角度に調整する「追尾式架台」があります。

ここまでご紹介した固定式の架台と比較すると、追尾式架台の収益は1.5倍になるともいわれており、注目を集めています。雪や砂を落としやすい、高さを確保できるといった点から、災害による悪影響を受けにくいことも特徴です。

追尾式架台には一軸式(単軸式)と二軸式(両軸式)があります。一軸式は1つの回転軸で東西に水平移動し、太陽の動きを追います。二軸式はさらに回転軸が1つ加わり、太陽の出ている高さにも対応した理想的な角度を維持するできます。

また、全電自動式、半自動式という2つのタイプがあります。全自動式はセンサーにより完全自動で太陽を追尾するタイプです。半自動式のタイプは、一部の操作を人間が行うことにより、コストダウンを実現できます。

追尾式架台は、日射量豊富な中東や米国の砂漠地帯では一般的ですが、日本では、日射量の関係上、収益性が良くないと言われているため、普及には至っていません。


太陽光発電システムに最大限の発電量・収益を望むのであれば、架台に関しても「単なる設置台」と考えるのでは不十分でしょう。

架台によって発電効率や安全性、耐久性が変わってくることを意識し、環境に応じて適切なものを選びましょう。


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