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太陽光発電システムで火災が起こる?事例や対策、保険について解説

2019.12.13

太陽光発電の人気が増す一方で、太陽光発電システムによる火災も報告されています。そのために太陽光発電システムの導入に踏み切れない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実は、導入する太陽光発電システムの種類などにより、火災のリスクが異なります。この記事では、太陽光発電システムの導入に伴う、火災の事例やリスク、疑問点、原因と対策についてまとめます。

また、そのときに役に立つ保険などについても見ていきます。

太陽光発電システムで起こる火災とは?

太陽光発電システムが原因の火災は、いくつか報告されています。

実際に消費者庁では、2019年に『消費者安全法第33条の規定に基づく意見』として、消費者庁長官と経済産業大臣に向けて、必要な措置を講じるように意見を上げました。

その中では、

  • 太陽光発電システムによる住宅火災の危険性を所有者に周知し、必要な対策を講じるように措置を講じること
  • 太陽光発電システムの製造業者が保守点検を実施するなどの対策ができるように法整備を進めること

などが必要であると述べられています。

太陽光発電システムにおける火災事故の原因は、いくつかあります。
消費者安全委員会によると、2008年3月から2016年8月までの間に、火災・発火・発熱・発煙などの事故が102件報告されました。

太陽光発電システムで起きた火災を消火するイメージ

パワーコンディショナーや接続箱、太陽電池モジュールや配線、分電盤などがおもな発火元として挙げられますが、原因が判明しているうちで多く報告されているのが、「パワーコンディショナーや接続箱が原因の事例」でした。

また、産業用太陽光発電システムでも事故が発生しています。例えば、2019年、9月に千葉県を通過した台風15号の影響により、千葉県のメガソーラーで火災が発生しました。

なお、パワーコンディショナーなど太陽光発電システムの機器について、詳しく知りたい方は、太陽光発電システムの基本について解説した記事 をご覧ください。

事例から見る太陽光発電システム火災の原因と対策は?

太陽光発電システムでは「好きな時に発電システムを停止する」ことが難しいため、異常があれば迅速な対応が必要です。
ここでは、太陽光発電システムによる火災の原因と対策についてまとめます。

家庭用太陽光発電システムでの火災

家庭用太陽光パネルは、住宅の屋根の上に設置するのが一般的です。

家庭用太陽光発電システムによる火災の多くは、屋根の上に設置した太陽電池モジュールや、各機器をつなぐケーブルから発生していると言われています。

例えば2013年に起きた火災では、配線から出火し、モジュールとその周辺が焼損しました。
出火原因となったと考えられるケーブルには、小動物が噛んだと思われる損傷が見られました。
その部分から漏電し、堆積した落ち葉に着火したのが原因とされています。

他にも、2014年の事例では、出力ケーブルで施工時に挟み込みが発生しており、絶縁劣化が進行したことにより取り付け架台で短絡回路が形成されました。
その架台が発熱し出火したとみられています。

2013年の別の事例では、システムの出力低下があり調査したところ、モジュールのガラスが破損し、焦げているのが発見されました。

【システム別】火災発生リスク

住宅用太陽光発電システムにおいて注意すべきなのは、モジュールやケーブルで発生した火種が延焼するか、という点です。
延焼さえ防ぐことができれば、大きな火災にはなりづらくなります。

住宅用の太陽光発電システムは以下の4つのタイプに分類されます。

  • 屋根置き型
  • 銅板等敷設型
  • 銅板等付帯型
  • 銅板等なし型

それぞれのタイプでは、モジュールの設置の仕方が異なり、火災発生のリスクが異なります。

屋根置き太陽光発電システムの種類別火災リスク

屋根置き型は住宅の屋根材の受けに架台を取り付けてモジュールを設置します。
屋根材として使われている瓦やスレート・金属屋根があるため、延焼は発生しにくいと言われています。

銅板等敷設型は、屋根とモジュールが一体になっているタイプで、下に銅板等の不燃材を敷設しますから、延焼しにくいタイプです。

銅板等付帯型は、モジュールに銅板等の不燃材料を付帯します。
銅板等敷設型と違ってケーブルが野地板場を這っているため、ケーブルの挟み込みなどによって延焼が発生する危険性があります。

銅板等なし型では、モジュールとの間に不燃材料を挟まないため、モジュールからの延焼が発生する危険性が考えられるタイプです。

多くの太陽光発電システムの火災は、この銅板等なし型で発生しています。

消費者庁によると、銅板等なし型は他の設置形態へ変更すること、銅板等付帯型では、ケーブルとルーフィングなどの可燃物を隣接しないことで、火災発生のリスクを低減できるとしています。

また、銅板等付帯型や屋根置き型のシステムにおいても、保守点検が非常に重要です。
点検によりケーブルの破損が見つかれば、火災を未然に防ぐことができます。

詳しくは、太陽光パネルの寿命やメンテナンスについての記事 をご覧ください。

産業用太陽光発電システムでの火災

産業用の太陽光発電システムにおいても、火災が報告されています。

2018年9月に上陸した台風21号の影響により、大阪府住之江区にあるメガソーラーが破損しました。
この事例では、設置されていたメガソーラーの約半数が、強風により破損・飛散し、内部の樹脂部分から発火しました。

また、2019年9月、千葉県に大きな被害を出した台風15号の影響で発生した、メガソーラー火災もありました。
この太陽光発電所は、山倉ダム上に浮かぶ、国内最大の水上設置型の太陽光発電所です。
台風の強風により、パネルの架台が巻き上がり、折り重なるように破損した部分から出火しました。

メガソーラーのイメージ

このような自然災害に備えるためには、太陽光発電システムを設置する場所について、事前にハザードマップなどで安全性の調査をしておくことが有効でしょう。

また、自然災害の被害は完全には防ぐことはできませんが、被害を大きくしないためには、安全性能を満たした設備を導入することが重要です。
さらに、定期的に点検し、常にシステムの稼働についてのモニタリングをすることが大切です。

詳しくは、産業用太陽光発電システムの点検についての記事をご覧ください。

太陽光発電システムに使える火災保険とは

太陽光発電システムには、メーカー保障がある場合がほとんどですが、保障対象が自然故障のみで、自然災害は保証対象外になっている場合が多いという注意点があります。

太陽光発電システムは長期間使用する可能性が高く、使用期間中に自然災害に見舞われる危険性も高くなりますから、専用の保険に加入しておくべきでしょう。

住宅に取り付けられた太陽光発電システムなら、住宅用火災保険の対象になる場合があります。
また、そこに水災・落下物、盗難などに対応した動産総合保険を加えた、住宅総合保険も選択肢として有効でしょう。
太陽光パネルが強風で飛ばされて、損害賠償が発生するなどのリスクに備えるために、施設賠償責任保険もあります。

どの保険も、太陽光発電システムが適用されるかどうかは、保険商品によるため、しっかり内容を確認しましょう。

太陽光発電システムでの火災保険のイメージ

事業所に取り付けた自家消費型の太陽光発電システムなら、一般物件向け火災保険、企業総合保険、動産総合保険を利用するとよいでしょう。
企業総合保険では、自然災害、飛来物、盗難、電気事故などによる損害をカバーできます。
また、津波に関する特約を付けられるものもあります。

産業用の太陽光発電システムであれば、以下のような保険が有効でしょう。

  • 火災保険や企業総合保険
  • 動産総合保険
  • 休業損害補償保険
  • 施設賠償責任保険
  • 出力抑制保険

休業損害補償保険とは、太陽光発電システムが事故等で損傷したときに、復旧するまでの電力の売上を補償するような保険です。
ただし、休業損害補償保険は電力会社の出力制御は補償してくれません。

それを補償してくれるのが出力抑制保険です。

いずれにしても、どのようなリスクに対応しているかは、保険商品によって異なります。リスクと補償の内容を照らし合わせ、最適な保険に加入しましょう。


この記事では、太陽光発電システムによる火災についてまとめました。

太陽光発電システムでは火災等の事例もありますが、対策することでリスクを回避できます。

導入の際は、安全対策や点検、保険の加入を行いましょう。

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