設備認定・事業計画認定を受けないと太陽光発電の電力が売れない?申請方法や注意点は?
2021.1.29

太陽光発電で発電した電力を売るために、避けては通れないのが設備認定(事業計画認定)です。
この記事では、設備認定・事業計画認定の概要や基準、FIT法改正による変更点、申請方法から手続きの流れを解説していきます。
設備認定・事業計画認定とは?
太陽光や風力などをはじめとする再生可能エネルギーは、温暖化の対策としても注目され設備の導入を検討している方もいるかと思います。しかし、太陽光発電は、導入すれば誰でもすぐに電力を売れるというわけではありません。
売電には計量法以外にも固定価格買取制度(FIT)で売電価格が定められているため、発電した電力を売電するには設備認定(事業計画認定)を受ける必要があります。

以前は、太陽光発電設備の認定(設備認定)を受けることで売電が可能でした。しかし、2017年4月に施行された改正FIT法により、「設備認定」は「事業計画認定」に変更され、それまでは太陽光発電設備の効率や要件が審査されていましたが、FIT法改正後は太陽光発電の事業計画の確実性が審査されるようになりました。
認定を受けないと太陽光発電の電力が売れない?
現在、発電事業の運営を民間企業が行っていますが、発電や電力は人々の生活に欠かせないものでもあるため、今でも政府が政策を交えて企業の売電事業を補助するなど、事業に介入しています。
太陽光発電においても、例に漏れず発電した電力を売電するには、政府の認可が必要になります。
設備認定(事業計画認定)はそのための手続きで、認定を受けない発電施設は売電することができません。
設備認定・事業計画認定の基準は?FIT法改正で変わったこと
FIT法改正により、現在は設備認定から名称が事業計画認定となってはいますが、申請様式には太陽光発電の設備に関しても細かく記載する必要があります。
10kW以上・10kW未満の発電設備に共通している項目は、以下の通りです。
- 保証やメンテナンス体制が確保されているか
- 売電量を適正に計量できる構造であるか
- 発電設備が型番などで特定されているか
- 変換効率がそれぞれ規定の変換効率以上のものであるか
固定価格買取制度(FIT)について、「定価格買取制度(改正FIT法)とは?太陽光発電の売電についてわかりやすく解説」の記事も併せてご覧ください。
FIT法改正によって変わったこと
FIT法は、もともとは国民全体で負担して再生可能エネルギーの普及・促進を目指すというもので、太陽光発電だけでなく、風力発電や地熱発電など5種類の再生可能エネルギーの普及・促進を目指していました。しかし、太陽光発電を優遇したことにより、その太陽光発電の導入量が大幅に増加し国民の負担が増える結果となりました。
改正FIT法では、このような問題を解決すべく、以下の点を変更・追加しています。
旧FIT | 現行FIT | |
認定制度(名称) | 設備認定 | 事業計画認定 |
認定の取得日 | 電力需給契約申込前 | 接続契約締結後 |
メンテナンス | なし | 保守点検・維持管理の計画・実施が必要 |
運転開始期限 | なし | あり 10kW以上:3年 10kW未満:1年 |
接続契約締結期限 | なし | あり |
太陽光パネルやメーカーの変更による調達価格の変更 | 変更あり | 変更なし |
売電単価 | 固定価格 | 10kW未満:3年後に事業計画認定を取得した場合の売電単価まで公表 250kW以上:入札制度 |
設備認定(事業計画認定)の申請方法から手続きの流れまでを解説
太陽光発電の設備認定(事業計画認定)の申請にはどういった書類が必要なのか、どのような流れで申請を進めていくのか解説していきます。
認定申請に必要な書類
必要書類は、出力数によって変わってきます。
住宅用太陽光発電(10kW未満)の場合
- 登記謄本(他者所有地の場合は登記謄本+権利者証明書、賃貸借契約書、地上権設定契約書のいずれか)
- 電力会社の接続同意書のコピー
- 構造図(標準構造図と異なる場合)
- 配線図(標準配線図と異なる場合)
- 委任状および印鑑証明(設置業者などに代行してもらう場合)
産業用太陽光発電(10kW以上)の場合
- 設置者の戸籍謄本または住民票
- 申請者の印鑑証明
- 登記謄本(他者所有地の場合は登記謄本+権利者証明書、賃貸借契約書、地上権設定契約書のいずれか)※
- 太陽光発電モジュールやパワーコンディショナの仕様書
- 電力会社の接続同意書のコピー
- 構造図(標準構造図と異なる場合)
- 配線図(標準配線図と異なる場合)
- 事業実施体制図
- 関係法令手続状況報告書
- 委任状(設置業者などに代行してもらう場合)
※建物上に設置する場合は不要だが、代わりに建物所有者の同意書が必要。
認定申請の具体的な流れ
事業計画認定の申請の流れは以下になります。
- 電子申請マイページからログインする
- 事業計画認定申請画面に進む
- 発電設備区分・出力区分・設置利用者区分を選択する
- 申請項目を漏れなく記入する
- 申請内容を保存する
- 必要書類を添付する
- 申請IDを控えて保存する
- 承認コードが記載されたメールを確認する
- 受け取った承認コードを入力する
以上で申請は完了です。
設備認定(事業計画認定)を受ける際の注意点は?
その年度での買取価格で売電をするためには、期日までに事業計画認定の申請を終わらせておかなければなりません。
これから手続きを進めていく方のために、設備認定(事業計画認定)を受ける際の注意点を4つご紹介いたします。
1:事前に電力会社と契約する必要がある
認定を受けるためには、電力会社と資源エネルギー庁のどちらにも手続きをする必要があります。以前はこの手続きは同時に進めることが可能でした。しかし、FIT改正後は資源エネルギー庁に提出する書類の一つとして電力会社との接続同意書類が求められるようになったため、同時には申請できなくなりました。
資源エネルギー庁での手続きを進める前に電力会社との契約が必要となるので、注意が必要です。

2:みなし認定に想定外の時間がかかった
2017年4月にFIT法が改正されてから、法改正前に設備認定を受けていた事業者に対しても2017年9月30日までに事業計画書を提出すること(みなし認定)が求められました。
みなし認定は締切期限が3ヵ月延長されていることから、想定外に時間がかかったことが推測されます。今後も申請の途中で改正があった場合は、同じように申請~認定までに時間がかかる可能性があります。
3:書類は正確に、余裕を持って申請する
太陽光発電の設備認定(事業計画認定)の申請書類は、先述したように専門的な書類が多く集めるのにも時間がかかります。修正にも時間がかかることが想定させるので、書類の漏れや不備、入力ミスには十分に気をつけましょう。
また、申請から認定までは3ヵ月以上かかるケースがほとんどのため、余裕を持って申請するようにしましょう。

4:申請期限を過ぎないようにする
事業計画認定は、2018年度から申請期限が年度内に定められています。期限を過ぎてからの申請になると、次年度の買取価格が適用されることになるため、この点からも余裕を持った申請をおすすめします。
設備認定・事業計画認定について概要や基準、FIT法改正による変更点、申請方法から手続きの流れを解説しました。
申請する場合は、必要書類や記入事項も多いため、余裕を持って準備をしておくことが大切です。