検索

検索

太陽光発電は売電できなくなるの?2019年問題とFIT満了を解説

2020.2.5

約53万件が卒FITを迎える2019年問題。太陽光発電オーナーの中には、「売電ができなくなるのか?」と不安視する声もあります。

この記事では「太陽光発電は2019年問題によって売電できなくなるの?」という疑問にお答えします。

FIT制度の終了について、どのような人が影響を受けるのか、これから太陽光発電システムを設置しようとしている人にも影響が出るのか、詳しく解説します。

「太陽光発電の2019年問題」とは?売電できなくなるって本当?

エネルギーを中東の石油に依存していた日本では、オイルショックをきっかけに大きな混乱が起きたため、「安定的なエネルギーの発電量を増やそう」と太陽光発電などの再生可能エネルギーが注目を集めました。特に、太陽光発電については、個人でも、自家消費するとともに売電を始める人が増え、一時期はブームとなりました。

太陽光発電で発電された電力は、国が定めた「固定価格買取制度」により、買取が約束されています。

以前は「余剰電力買取制度」という名前でしたが、2012年以降は制度の見直しが行われて「固定価格買取制度」となりました。

固定価格買取制度は、別名FIT制度ともいわれ、国が定めた要件を満たす設備で発電すれば、所定の金額で電気事業者が買い取ってくれるというものです。

その制度のもと、売電は産業用は20年間、家庭用は10年間保証されています。

詳しくは、「固定価格買取制度(改正FIT法)とは?太陽光発電の売電についてわかりやすく解説」をご覧ください。

売電

太陽光発電の2019年問題とは

太陽光発電オーナーなら、「2019年問題」という言葉を1度は聞いたことがあるでしょう。中には、「売電ができなくなる」という不安を抱えている人もいるのではないでしょうか。

2019年問題は、前述した固定価格買取制度が期限を迎えてしまうことによって生じる問題です。

家庭用の場合、 固定価格での買取制度は、「10年間」という期間が決まっています。発電システムを設置し、売電を開始してから10年が過ぎると、固定価格での買取は終了します。

ただし、期間が終了しても、売電ができなくなるというわけではありません。

しかし、政府によって定められた買取価格の対象外となるため、「電力の買取価格の値下がり」が予想されます。

固定価格買取は2009年から始まった制度であるため、10年後である2019年に、初めて固定価格買取制度が終了するオーナーが登場します。

これが、2019年問題の概要です。「問題」とあるので不安視しがちですが、買取価格は最初から10年と決まっていたため、トラブルではありません。しかし、およそ53万件ものオーナーが2019年に終了を迎えるため、「今後どうすればいいのか」という混乱が巻き起こっているのです。

なお、2019年問題は一過性のものではなく、2010年に太陽光発電を導入したオーナーは、2020年に固定価格買取制度終了を迎えます。

売電価格の値下がりが起きるという意味では、これから太陽光発電を導入予定のオーナーにも影響があるといえます。

2019年問題については、こちらの記事もご参照ください。
太陽光発電の2019年問題とは?あなたの発電システムに影響はある?

10年または20年過ぎると売電額の値下がりが起きる

固定価格買取制度の期間が過ぎると、国が定めた価格での売電はできません。つまり、国が指定した価格ではなく、電気事業者が買い取り額を自由に決めることができるのです。

固定価格買取制度での買取価格は、市場価格よりも高く設定されていたため、制度終了後に買取額が上がることは望めないでしょう。国による買取価格の指定がなくなれば、電力事業者は「できるだけ安く買いたい」と考えるためです。

詳しくは後述しますが、買取制度終了後のオーナーには複数の選択肢があります。自家消費型の発電システムであれば、売電をやめ、発電した電気はすべて自家消費するという選択肢もあります。

固定価格買取制度の終了時期については、終了の4~6か月前に事業者から連絡されます。期間終了後にオーナーが何も手続きをせず放置していれば、契約している電気事業者が新しい価格で買い取り続けます。

買取価格の値下がり

固定価格買取制度後の買取額は電力会社によって違う

太陽光発電のオーナーにとって気になる問題といえば、「制度終了後、どれくらい売電価格が値下がりするのか?」という点です。

制度終了後は電気事業者が自由に買取価格を決められるため、価格は事業者ごとに異なります。オーナーは、契約している事業者の案内やホームページで調査しなくてはなりません。

環境エネルギー庁の公式Webサイトでも、各電力会社の買取額やプランについて確認できます。事業者の多くは国の指定価格よりも安い金額での買取を案内していますが、中にはお得なセットプランを提供している事業者もあります。

FIT価格で売買できなくなるとどうなる?太陽光発電オーナーの選択肢

固定価格買取制度終了後の太陽光発電のオーナーの選択肢は、おもに以下の2つです。

  • 電力会社を選び、太陽光発電の売電を続ける
  • 太陽光発電の売電をせず、自家消費する

買取制度終了後は、電力会社によって買取価格が異なります。太陽光発電のオーナーは、より高く買い取ってくれる電気事業者と契約しなおすことができます。

2016年以降は、電力自由化によって、新しく電力事業に参入する企業も増えました。この新規参入した事業者を「新電力」と呼びます。新電力は、従来の電気事業者より高い買取価格を設定しているケースもあります。

なお、「固定価格買取制度が終了した時点で契約しなければ、その後の契約はできない」「制度終了までに契約していた事業者以外とは契約できない」という情報は間違っているので、注意してください。

【売電しないと決めた人へ】太陽光発電の自家消費で節約するコツまとめ

太陽光発電で得た電力を最大限に活かして電気料金を節約するためには、おもに3つのコツがあります。

1つ目は、蓄電システムの導入です。

自家消費型の太陽光発電システムでは、固定価格買取制度の期間内は、発電した余剰分を事業者に売電して、夜中に必要な電力は事業者から購入していました。

固定価格買取制度の終了後は、昼間発電した電力のうち、余剰分を蓄電システムに貯めておき、夜間に使用する方法がおすすめです。

また、電気自動車に蓄電するという方法もあります。

しかし、せっかく電力の自家消費で節約しても、蓄電システムの導入には出費が伴います。

実は、蓄電池の導入は、自治体から補助金が支給されるケースがあります。補助金や蓄電システムの種類については、以下の記事で解説しているので、ぜひご参照ください。

2つ目のコツは、節約しやすい電気料金プランを選ぶことです。

自家消費とはいえ、夜間は電力会社から購入した電気を使う場合が多くなります。

電力会社によっては、昼間に使用した電気料金は高く、夜間の電気料金は安く設定されたプランを用意しているところもあります。

このようなプランに変更することで、発電した電力で消費量のすべてが賄えなかった場合でも、節約することができます。

3つ目のコツは、なるべく昼間に電気を使うことです。

IHコンロでの調理や携帯電話の充電、選択などを昼間に行うことで、より効率的に電力を消費できます。

自家発電

なお、電力の自家消費の発展型として、「オフグリッド生活」があります。

詳しくは、「オフグリッド生活のメリットや注意点!ソーラー発電のみのライフスタイルとは?」をご覧ください。


この記事では、太陽光発電オーナーにとって重要な「2019年問題」について紹介しました。売電価格の値下がりはオーナーにとって大きな問題です。この機会に、太陽光発電システムの運用を検討してみるのはいかがでしょうか。

この記事をシェアする

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • LINE
  • はてなブックマーク
  • はてなブックマーク

関連記事