ソーラーシステムとは?種類や仕組み、太陽光発電との違いも解説
2020.6.15

太陽光発電に比べてエネルギー効率の高い再生可能エネルギーとして、ソーラーシステムへの需要が高まっています。
この記事では、ソーラーシステムとは何か、ソーラーシステムと太陽光発電はどのような違いがあるか、メリット・デメリットについて詳しく解説します。
ソーラーシステムにご興味をお持ちなら、ぜひ最後までご覧ください。
ソーラーシステムとは何か?太陽光発電との違いは?
太陽熱をエネルギーとして利用するシステムを、「太陽熱利用システム」と呼びます。太陽熱利用システムは再生可能エネルギーの一つであり、自然循環型の「太陽熱温水器」と強制循環型の「ソーラーシステム」に大別されます。
ソーラーシステムとは、熱エネルギーを効率的に循環・媒介するシステムを用いて運用する太陽熱利用システムのことです。集めた熱エネルギーは給湯や暖房などに利用できます。一般の家庭での利用はもちろん、ホテルや病院、福祉施設などでも利用されています。
資源エネルギー庁の「平成24年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2013)」によれば、家庭で使われるエネルギーの半分以上は、給湯や暖房などのような熱エネルギーとして消費されています。そのため、太陽熱利用システムを活用することで、高い省エネ効果が期待できます。
あとで詳しく解説しますが、太陽光利用システムでは、住宅の屋根などに設置した集熱器(パネル)で太陽熱を集め、温水や温風を製造して利用します。
太陽熱利用システムは、電気を利用する太陽光発電システムと名前は似ていますが、仕組みが全く違います。太陽光発電システムを導入して、オフグリッドに利用する家庭も近年増加しており、どちらのシステムも人気が高くなってきています。
オフグリッドについては「オフグリッド生活のメリットや注意点!ソーラー発電のみのライフスタイルとは?」にまとめてありますので、併せてご覧ください。
ソーラーシステムと太陽光発電の違いとは?
ソーラーシステムと太陽光発電は、太陽が発するエネルギーを利用する点や、エネルギーを受容するためのパネルを屋根などに設置してエネルギーを集める、という点においては似ています。
しかし、両システムには供給エネルギーやエネルギー効率など、様々な違いがあります。ソーラーシステムと太陽光発電システムの違いは以下の通りです(資源エネルギー庁HPより一部引用)。
太陽熱利用システム ソーラーシステム) | 太陽光発電 | |
供給エネルギー | 熱をつくる(温水や温風) | 電気をつくる |
利用用途 | 建物内の給湯・冷暖房 | 建物内の電気製品等 売電 |
エネルギー効率 | 40~60% | 7~18% |
適用建物 |
給湯需要の多い建物に向く (病院・ホテル・学校・行動住宅等) | 様々な建物に設置できる |
面積当たりの 供給エネルギー | 600kwh /m2 | 130kwh /m2 |
ソーラーシステムは、太陽光を集熱器で集め、熱エネルギーとして利用します。太陽光発電は、太陽光を集熱器で集めるところまでは同様ですが、半導体に太陽光を当てると電流が発生する性質から、電気エネルギーとして利用します。
太陽光発電について詳しく知りたい方は「太陽光発電システムの基礎知識【よくわかるまとめ】」を併せてご覧ください
ソーラーシステムの種類や仕組みを解説
太陽熱利用システムは太陽光による熱を液体や空気を媒介に循環させて利用します。
先述のように、太陽熱利用システムは「太陽熱温水器」と「ソーラーシステム」に大別されます。さらにソーラーシステムは「液体式」と「空気式」に分けられます。
以下では、液体式ソーラーシステムと空気式ソーラーシステムの仕組みについてご紹介します。
液体式ソーラーシステムの仕組み
液体式ソーラーシステムは集熱器と蓄熱槽から構成されています。集熱器を使って集めた太陽熱を、液体(不凍液)を用いて媒介。不凍液は蓄熱槽に溜められた水を温めてお湯にします。
集熱器と蓄熱槽は分かれています。屋根の面積を大きくとらないため、太陽光発電パネルを併設することもできます。
集熱器には、比較的安価な平板型と高温集熱に有利な真空管型があります。平板型集熱器は傾斜をつけて設置する必要がありますが、真空管型集熱器は水平に設置することが可能です。

空気式ソーラーシステムの仕組み
空気式ソーラーシステムは集熱器(パネル)と、ハンドリングボックスなどの送風機ユニットから構成されています。
屋根などに取り付けた集熱器が空気を温めます。温まった空気は床下に送られ、蓄熱材に蓄熱したり、室内に取り入れたりすることで暖房効果を発揮します。
また、温まった空気の熱エネルギーは、熱交換機などを通して蓄熱槽の水を温めることで、給湯に利用できます。

ソーラーシステムを使うメリットとデメリット
ソーラーシステムを活用するメリットとして、高いエネルギー効率、安価な設置費用、光熱費・ 削減などが挙げられます。
資源エネルギー庁のデータによれば、太陽光発電のエネルギー効率が7~18%であるのに対して、ソーラーシステムは40~60%です。
また、住宅用の標準的な設置価格を比較すると、太陽光発電3kWで150万円~180万円であるのに対して、ソーラーシステムの場合は約30万円~90万円と、半分以下の価格で設置できます。
資源エネルギー庁の試算によると、集熱面積6m2の住宅用液体集熱式ソーラーシステムを設置した場合、システムコストが10年間で85万円程度となりますが、液化石油ガス(LPG)を使用した場合と比較すると、10年間の燃料コスト削減額は103万円になります。
この場合10年間で9.6tのCO2削減にもつながり、非常にエコロジーなシステムと言えます。
ソーラーシステムは太陽光発電に比べて、エネルギー効率や価格の面では優れていますが、汎用性に欠ける部分があります。
太陽光発電は太陽光のエネルギーを電気にしているため、建物内の電気製品に使用したり、売電したりするなど、幅広い活用が可能ですが、ソーラーシステムはエネルギーを熱として使用するため、給湯や冷暖房などが主な用途になります。
そのため、ソーラーシステムが適する建物は限られます。ホテルや病院、共同住宅、学校など給湯・冷暖房の需要が多い建物であれば、ソーラーシステムの利点が十分に発揮できるでしょう。
この記事では、ソーラーシステムの仕組みやメリット・デメリット、太陽光発電との違いなどについてご紹介しました。
ソーラーシステムは太陽光発電などと比べ安価で設置でき、エネルギー効率の高い再生可能エネルギーとして注目されています。特に給湯や暖房の需要が多い建物などではメリットが大きいシステムですので、ぜひ導入を検討してみてください。