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再生可能エネルギーの課題とは?導入や活用における課題を解説

近年、世界的に再生可能エネルギーの導入が進められています。

再生可能エネルギーは温室効果ガスを排出しないため、地球温暖化を防止する目的でも注目されていますが、導入に向けて課題もあります。

この記事では、再生可能エネルギー導入に向けた課題について詳しくまとめました。

【課題を知る前に】再生可能エネルギーとは?

再生可能エネルギーとは、自然の営みから半永久的に、継続して得られるエネルギーのことです。
例えば、太陽光、風力、水力、波力、地熱、バイオマスなどが、再生可能エネルギーとして挙げられます。

再生可能エネルギーに対して、石油や石炭など、燃料として使用するとエネルギー源として再利用できないものを枯渇性エネルギーと呼びます。
枯渇性エネルギーの資源量には限界がありますが、再生可能エネルギーは枯渇しません。

また、再生可能エネルギーは、自然の活動によってエネルギー源が絶えず再生・供給されますから、地球環境への負荷が少ないクリーンなエネルギーです。

現状、世界的に脱炭素化の動きが活発になっており、再生可能エネルギーを積極的に導入する動きが拡大しています。

詳しくは、「再生可能エネルギーとは何かを簡単に解説!日本と世界の導入状況も」をご覧ください。

様々な再生可能エネルギー

日本はエネルギー資源に乏しく、エネルギー供給の8割以上を、海外から輸入した化石燃料に依存しています。

環境問題の視点などから、日本では再生可能エネルギーの比率を高めていくことを目標としています。
目標実現のための活動の一環として、日本では2012年に「固定価格買取制度(FIT制度)」を導入しました。

その結果、現在では、FIT制度導入前に比べて、日本での再生可能エネルギーの導入量が増加してきています。

太陽光発電におけるFIT制度については「太陽光発電におけるFITとは?終了後の次のステップは?【2019年度版】」にまとめてありますので、併せてご覧ください。

再生可能エネルギーの導入に向けた課題とは?

再生可能エネルギーの導入に際して、以下のような課題があります。

  • 電力の安定供給が難しい
  • 発電コストが割高
  • 大きな設備が必要

以下では、この3つの課題についてそれぞれ解説します。「再生可能エネルギー導入のメリット・デメリットとは?」の記事もございますので、併せてご覧ください。

【再生可能エネルギーの課題①】電力の安定供給が難しい

再生可能エネルギーを活用した発電は、自然の営みから得られるものなので、天候や気候などの影響を受けやすい、という特徴があります。

例えば、太陽光発電であれば、季節や土地柄による日照時間の変化により発電量が変わりますし、天候の影響も受けます。また、日没後の発電もできませんから、夜間は他の発電による電力に頼ることになります。

風力発電の場合は、風の強さで発電量が変わります。

再生可能エネルギーの課題

このように、再生可能エネルギーによる発電は不安定であり、需要に合わせて必要量を発電することが難しいのです。

電力を供給する際、電力需給のバランスを調整できなければ、大規模な停電を発生させる場合もあります。

【再生可能エネルギーの課題②】発電コストが割高

再生可能エネルギーは、火力発電所と比較して、発電コストが割高だと言われています。

例えば、関西電力の堺太陽光発電所と堺港発電所(火力発電所)を比較すると、以下のようになります。

  堺太陽光発電所 堺港発電所(火力) 倍率
面積 約21万㎡ 約10万㎡ 約0.5倍
設備容量 1万kW 200万kW (40万kW×5台) 200倍
発電電力量 約1100万kWh / 年 約140億kWh / 年 約1300倍

単位面積当たりでは、堺港発電所(火力)は堺太陽光発電所の約2600倍の発電電力量となります。

日本では、再生可能エネルギーの普及に向け、「再生可能エネルギー導入量割当制度(RPS制度)」や「余剰電力買取制度」「固定価格買取制度(FIT制度)」など、価格低下・コスト削減に取り組んでいます。

しかし、再生可能エネルギーの発電コストの低減化は、まだ進んでいないのが現状です。

一方、世界では太陽光発電・風力発電を中心に、再生可能エネルギーの発電コスト低減化が進んでいます。

再生可能エネルギーの導入比率も日本に比べて高く、日本の再生可能エネルギーの価格・発電コストは高いと言わざるを得ません。

例えば、アラブ首長国連邦(UAE)では太陽光発電の低価格化に成功しており、太陽光発電のコストが2.6円程度 / kWh という事例もあります。

太陽光発電に関して、日本とアラブ首長国連邦(UAE)では以下のような条件の違いが考えられます。

  • 日本の労働力の単価が高い
  • 日本の国土の約75%は山地であり、地理的条件に恵まれない
  • UAEは日照時間が長く、設備利用率が日本の1.5倍以上

再生可能エネルギーによる発電効率を上げるには、設備の場所が重要です。

しかし、再生可能エネルギーによる発電が可能な地域は、従来の発電所がある地域と離れていることも多く、新たに送電設備などを建設する必要がある場合は、さらにコストがかかることになります。

【再生可能エネルギーの課題③】系統制約の問題

系統制約とは、地理・自然条件や設備状況などによる電気系統の制約のことです。

電気の需給のバランスを保ち、電気の品質を確保するために、発電出力を制御する必要があります。再生可能エネルギーの大量導入を進める中で、系統制約が顕在化していて、系統制約の緩和・解消が急務です。

系統制約には「容量面での系統制約」と「変動面での系統制約」があります。

再生可能エネルギーでの様々な課題

日本の電気系統は、従来の電力会社(東京電力など)が設置した大規模発電所と、市街地や工業地帯といった電力の消費地を結ぶ形でつくられてきました。

そのため、それらの電力会社の管轄エリアごとに区切られており、隣のエリアなどに電気を大量に融通することが難しいのです。

また、再生可能エネルギーによる電力が持続的に確保できるポテンシャルのある地域と、従来の大規模発電所の地域は必ずしも一致しませんから、対策なしには電力の需要と供給のバランスがとれません。

電力が余る場合には、再生可能エネルギーの電力を流通させて火力発電の電力供給を抑えるといった、複数の電源を制御するルール(有線給電ルール)を設けるなどの対策が必要です。

これが「容量面での系統制約」です。

また、太陽光発電や風力発電は短期的な出力の予測が難しく、電力の需給のバランスをとりにくい面があります。

再生可能エネルギーの普及を進めるためには、この変動を調整できる仕組みが必要になります。

これが「変動面での系統制約」です。

このような再生可能エネルギーのメリットやデメリットに対応するため、日本を含めた多くの国では、さまざまな発電方法を組み合わせる「エネルギーミックス」を行っています。

詳しくは、「エネルギーミックスとは?日本のエネルギー事情をふまえて解説」をご覧ください。


この記事では、再生可能エネルギー普及のための課題についてまとめました。

再生可能エネルギー普及に向け、日本では様々な施策がとられているものの、まだまだ躍進にはつながっていません。今後、日本だけでなく世界でも取り組むべき課題は多いのが現状です。再生可能エネルギー普及のためには、今回ご紹介した課題を1つ1つクリアにしていくことが大切です。

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