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バイオマス発電とは?仕組みメリットを分かりやすく解説

公開:2020年10月27日
更新:2022年09月07日

地球温暖化対策の1つとして、再生可能エネルギーであるバイオマス発電が注目されています。しかし、バイオマス発電が具体的にどのようなものなのかは、あまり知られていません。

この記事では、バイオマス発電とはどのような発電方法なのか、その仕組みや種類、メリットとデメリットについて解説します。

バイオマス発電とは?有機性のエネルギー資源を利用した発電

「バイオマス」とは、動植物などの生物からつくり出されるエネルギー資源のうち、石油などの化石燃料を除いたもののことです。有名なところでは、トウモロコシなどから作られた「バイオエタノール」が自動車の燃料として利用されています。

バイオマス発電」とは、バイオマス燃料を利用した発電方法のことで、バイオマス燃料を直接燃焼したり、発酵させることで発生するメタンガスなどを燃焼したりすることでエネルギーを取り出し、発電します。

バイオマスエネルギーは、原料となる植物などの循環再生によって持続的に生み出し続けることができるため、再生可能エネルギーの1つとして注目されています。

バイオマス発電に使えるものは?

バイオマス由来の燃料には、木質燃料、バイオディーゼル、バイオエタノール、バイオガスなどがあります。

このうち、バイオマス発電に使用されるのは、木質燃料やバイオガスです。

木質燃料は、間伐材や廃材などの木質バイオマスを燃料として利用するものを指します。バイオガスは、生ごみや家畜の糞尿などの廃棄物系バイオマスを発酵させて発生するガスのことです。

バイオマス発電に利用されるバイオマス
木質バイオマス 廃棄物系バイオマス
・間伐材
・製材工場残材
・林地残材
・建築廃材  など
・生ごみ
・食品加工残渣
・家畜の糞尿
・汚水・汚泥  など
→ 木質燃料 → バイオガス

バイオマス発電の基本的な仕組みや種類

バイオマス発電は、どのような仕組みで電力を生み出しているのでしょうか。

バイオマス発電の方式には、大きく「直接燃焼方式」「熱分解ガス化方式」「生物化学的ガス化方式」の3つがあります。

バイオマス発電のイメージ
バイオマス発電の概観

直接燃焼方式

バイオマスを直接燃焼させて発電するのが直接燃焼方式です

直接燃焼方式では、木材や可燃ごみ、廃油などのバイオマスを、燃焼しやすいように加工し、ボイラーで燃焼させます。その熱エネルギーで水蒸気を発生させ、蒸気タービンによる発電を行います。

この方式は、燃焼温度が低く、発電効率の点から大型の設備に用いられる方式です。

直接燃焼方式

熱分解ガス化方式

熱分解ガス化方式では、バイオマスを高温で熱処理することでガス化し、ガスタービンまたはガスエンジンによる発電を行います。

この方式は、燃焼温度が高く、直接燃焼方式よりも小さい設備でも一定の発電効率を得ることができます。

熱分解ガス化方式

生物化学的ガス化方式

生物化学的ガス化方式では、発酵などを通してバイオマスをガス化し、ガスタービンまたはガスエンジンにより発電を行います。具体的には、家畜の糞尿や生ごみ、汚水・汚泥などを発酵させ、メタンガスなどを発生させています。

水分が多いために直接燃焼させにくい廃棄物系のバイオマスに用いられる方式で、発生するガスの発熱量が高いため、発電効率が高くなっています。

生物化学的ガス化方式

バイオマス発電のメリット・デメリット

再生可能エネルギーの1つとして注目を集めるバイオマス発電ですが、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

ここでは、バイオマス発電のメリット・デメリットを具体的に紹介します。

バイオマス発電のメリット

まずは、バイオマス発電のメリットからみていきましょう。

安定した発電量

バイオマス発電は、太陽光発電や風力発電などのように、エネルギーが自然環境に依存しないため、他の再生可能エネルギーと比較して、安定した発電量を確保することができます。

カーボンニュートラル

バイオマスは、循環型社会への寄与、地球温暖化対策としても大きなメリットを持ちます。

例えば木質バイオマスの場合、その原料となる樹木は大気中の二酸化炭素を吸収しています。樹木から木質バイオマスを生成し、それを燃焼させると二酸化炭素が発生しますが、これは大気から吸収した二酸化炭素が再び大気に還ったと考えれば、大気中の二酸化炭素濃度上昇には影響しません

このような観点から、バイオマスエネルギーは、CO2の排出量が実質ゼロとなる、いわゆるカーボンニュートラルであるとみなすことができます。

カーボンニュートラルについては「カーボンニュートラルとは?目的や取り組み、企業事例も含めて解説!」を御覧ください。

資源循環性

バイオマス発電の燃料に用いられる木質チップは、森林の間伐により発生した利用されない木材が原料として用いられます。また廃棄物系バイオマスの場合には、捨てられるはずの廃棄物が原料として用いられます。どちらも、本来捨てられるものを原料として用いるという点で、資源循環性の観点から環境負荷の低減に寄与していると言えます。

エネルギー

バイオマス発電のデメリット

続いて、バイオマス発電のデメリットについて紹介します。

原料調達コスト

バイオマス燃料を用いる場合、原料の収集や運搬、管理が必要となります。

木質燃料の場合には間伐材や廃材の収集・運搬、廃棄物系バイオマスの場合には生ごみや家畜の糞尿など、小規模に分散している原料を収集し、運搬することが必要となり、そのコストが高くなる傾向があります。

太陽光発電や風力発電など、自然エネルギーを利用する発電には上記のコストがかからないことを考えると、この点はデメリットといえるでしょう。

低い発電効率

バイオマス発電の発電効率は低く、たとえば木質バイオマス発電の発電効率は、20%~25%程度です。

他の発電方法における発電効率は、火力発電で55%、水力発電で80%、風力発電で20~40%、太陽光発電で20%程度です。太陽光発電と比べれば特段低くはないように感じられますが、燃料の調達にコストのかかるバイオマス発電は、燃料の調達が必要のない太陽光よりも高い発電効率がなければ、経済性に劣ることになります。

廃棄物系バイオマス(バイオガス)における廃液処理

燃料に廃棄物系バイオマスを用いる場合、バイオマス発電で生じる発電後の廃液(消化液)は環境負荷が高く、適切に処理しなければ公害の原因にもなり得ます。この廃液処理にも一定のコストがかかるため、バイオマス発電の発電コストの上昇要因の一つとなります。

バイオマス発電には、メリットばかりでなく、このようなデメリットがあるのも事実です。

バイオマス発電の国内の取り組み

再生可能エネルギーの普及を促進するために導入されたFIT制度(固定買取制度)は、バイオマス発電にも適用されています。経済産業省によると、固定価格買取制度の導入前(2012年6月末)までのバイオマス発電の累積設備導入量は約230万kWであったのに対し、制度導入以降の累積導入量は265.1万kWとなり、バイオマス発電は、FIT制度導入前の2倍以上となっています。

一方で、バイオマス発電でもFIT制度の適用により固定価格での買取がされますが、バイオマス燃料を輸入に頼る日本では特に、他の再生可能エネルギーと比べると発電コストがかかり、経済的なメリットが小さくなる傾向にあります。さらに、ここ数年で太陽光発電や風力発電などの発電コストが下がってきたことも、バイオマス発電にとっては向かい風となっています。

これら課題解決の鍵となるのが、地域資源を活かしたエネルギーの地産地消モデルです。

バイオマスを中心とした再生可能エネルギーの地産地消で知られるオーストリアのギュッシングでは、1996年に木質バイオマスを使った発電施設を開発し、以降20年以上に渡って地産地消型の再生可能エネルギーを地域産業として育ててきました。その中で、地域資源である森林から出る木屑から木質バイオマス生成したり、地域の企業活動から出る木屑や端材の買い取りを行うなど、バイオマス発電の燃料コストを低減する取組みも行っています。

これらの取組みを通してエネルギーの自給自足を実現し、再生可能エネルギーを安定的に調達可能であることを魅力として、50社以上の企業誘致にも成功しました。この再生可能エネルギーの地産地消による地域活性化は、「ギュッシング・モデル」として知られています。

国内では、2017年より、北海道の苫小牧でバイオマス発電事業が開始されました。ギュッシング・モデルも参考にし、北海道で地域活性化モデルを作ること、日本におけるバイオマス発電が地域活性化に貢献することが期待されます。

苫小牧バイオマス発電所について詳しくは「不屈の魂で創り出す地方活性化事業」をご参照ください。


この記事では、バイオマス発電の種類やメリット・デメリットについて解説しました。

カーボンニュートラルで環境にやさしいバイオマス発電は、持続可能社会の構築に重要な役割を果たすことが期待されます。

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