スマートメーターとは?家庭の電力「見える化」に不可欠な新システムを解説
2019.10.9

「スマートメーター」をご存知でしょうか。
スマートメーターは、新しい電力メーターであり、現在、各家庭に急速に普及し始めています。
従来のメーターとは異なるスマートメーターは、多くのメリットがあり、うまく活用できれば、電気使用量削減につなげることも可能です。
この記事では、スマートメーターについて、1から詳しく解説します。
スマートメーターとは?なぜ検針がいらないの?
スマートメーターは「デジタル式の電力メーター」のことです。kWhで示される電力量の表示部分もデジタル化しています。
もちろん、「ただ表示がデジタルに変わっただけのメーター」というわけではありません。
機能面の大きな特徴として、以下の2点が挙げられます。
- 電気使用量を30分単位で計測できる
- 計測データを遠隔地に送ることができる
従来のアナログ式メーターでは、電気の使用量は1ヶ月単位でしかわかりませんでした。しかし、スマートメーターは、30分という細かい単位で使用量を調べることができます。そのため、電力会社では、スマートフォンアプリなどを活用し、詳細な電気使用状況がわかるサービスを提供しています。
また、スマートメーターには通信機能が備わっており、設置された家庭から離れた場所へデータを送信できます。つまり、電力会社が家庭ごとの消費電力を確認できるということです。
スマートメーターでは、このように、データを電力会社が集約できるため、従来のような検針員が各家庭に出向いて行う検針の必要がなくなりました。

スマートメーターを取り付けるには?費用はいくらかかるの?
スマートメーターの取り付け工事は、居住地域の大手電力会社が行います。スマートメーターの設置費用は無料なので、家庭で工事費用を負担する必要は一切ありません。
また、スマートメーターの工事は、そこまで大掛かりなものではありません。実際の作業時間は30分弱と短めです。
取り付けの際には、停電させて工事を行う場合と、停電させずに行う場合があり、電力会社やサービス契約内容によって停電の有無が変わります。
実は、スマートメーターの導入は、政府からの後押しもあり、すべての家庭・工場等への普及を目指して、順次、切り替え作業が行われています。
つまり、現在は自宅にある電力量計がアナログ式だったとしても、いずれはスマートメーターに取り換えられるということです。
ここで、「使用量の計測機能を使いたいから、できるだけ早く切り替えたい」という家庭もあるかもしれません。優先的に切り替え作業が行われるケースとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 家を新築したとき
- 古い電力メーターの有効期間が過ぎたとき
- 電力会社を変更するとき
また、電気料金が昼間と夜間で違うプランに申し込む際に、電力会社が設置してくれる場合もあります。
これは、従来のアナログ式メーターでは、消費された電力量が昼間のものか、夜間のものか計測できないためです。
スマートメーターを取り付けるとどうなる?
スマートメーターを設置することで、どのようなメリットがあるのでしょうか?例えば、下記が挙げられます。
- ブレーカーが落ちたとき、停電から自動で復旧できる。
- アンペア数を遠隔操作で変更することができるため、切り替え作業が簡単
- 時間帯によって料金が変わるプランを利用できる。
- 電力会社の検針員の訪問がなくなる。
スマートメーターには、ブレーカーが内蔵されています。スマートメーターは、電気の使いすぎ、すなわち同時使用電力が契約アンペア数をオーバーした場合、危険を避けるために自動的に停電させる機能を備えています。
これまでは、ブレーカーが落ちると手動で分電盤(ブレーカー)を操作しなければなりませんでした。しかし、スマートメーターの場合は、1分ほど待てば、自動的に復旧してくれる機能があります
また、電気の使用状況によっては、アンペア数を変えたほうがお得になるケースが考えられます。そのためには、アンペア数の変更作業を行わなければなりません。
スマートメーターであれば、電力会社のほうからアンペア数を遠隔操作で変更できます。立ち会いが不要になり、切り替え作業が楽になるのがポイントです。
電力会社には、時間帯によって料金が変わるプランが用意されていることがあります。
スマートメーターで家庭の電気使用量をチェックすれば、電力消費量の多い時間や少ない時間が一目瞭然です。
そこで、実際の電気使用状況に合わせたプランに変更することで、電気代の節約につながります。
さらに、前述したとおり、スマートメーターは電力消費量データを電力会社に送信します。そのため、家庭に出向いて検針する必要がなくなります。また、引っ越しなどで契約を開始する際も、自動的に手続きすることができます。
電力会社にとっては業務コストが減り、家庭にとっては立ち会いの手間が省けるため、双方にとって大きなメリットといえるでしょう。

スマートメーター活用法!節電に活かす際のポイントは?
こちらでは、スマートメーターの機能を節電に活かす方法を、具体的に紹介します。
おすすめは、HEMS(ヘムス)と呼ばれるシステムと連携し、「電気の見える化」をすることです。
HEMSとは、Home Energy Management Systemの略です。日本語にすれば「家庭におけるエネルギー管理システム」となります。
HEMSは電化製品と接続して使用電力量を調べたり、自動制御したりするシステムですが、スマートメーターとも接続できます。
設置したスマートメーターとHEMSを導入・連動させることで「どの家電がどれだけ電力を消費しているか」「電気使用量が多いのはどの部屋か」といった、より詳しいデータを表示することができるようになります。
具体的な例としては、
- 夏場にエアコンを2台稼働したとき、◯kWhかかっている
- 子供部屋での電気使用量が多い
- 特定家電の待機電力が大きく、家に誰もいない時間でも電気が消費されている
などです。
このように、自分の家の状況が目に見えてわかるため、節電意識が高まります。
「どこで」「どのような」電気が使われているかを把握することは、環境に優しい生活への第一歩といえるでしょう。
もちろん、電気使用量がわかったからといって、それだけで節電になるわけではありません。
無駄な電力の消費を減らすには、意識的に使っていない充電器のコンセントを抜いたり、エアコンの設定を変えるなどの行動が大切です。
スマートメーターは、ほぼリアルタイムで使った電力量をチェックできる、デジタル式の測定器です。
国を挙げてスマートメーターへの切り替えが進められており、電力会社側で自動検針ができる、アンペア変更がスムーズなど、多くのメリットがあります。
また、電力会社のサービスやHEMSと連携することで、家庭の電気使用状況を「見える化」できます。電気の無駄使いを見つけられれば、節電にもつながります。
この記事を参考に、ぜひ活用を検討してみてください。