ピークシフト・ピークカットの違いとは?太陽光発電における「ピークカット」も解説
2019.8.22

近年、節電への関心が高まる中で、「ピークシフト」や「ピークカット」という言葉がよく聞かれるようになりました。また、太陽光発電においても、「ピークカット」は頻繁に使われる言葉です。
しかし、ピークシフトとピークカットは言葉が似ているため、「違いがわからない」という人は多いです。
さらに、太陽光発電の「ピークカット」は節電のそれとは意味が異なるため、非常にまぎらわしいのが難点です。
そこで今回は、ピークシフト・ピークカットの定義・違いをきちんと整理した上で、太陽光発電における「ピークカット」についてわかりやすく解説します。
ピークシフト・ピークカットの違いをわかりやすく解説!
ピークシフトとピークカットは、どちらも、電気使用の需要がピークになる時間帯において行うことで、電力やコスト削減効果があります。
それでは、ピークシフト・ピークカットの違いと、それぞれのやり方について解説します。
ピークシフトとは?ピーク時の電力を「移す」取り組み
ピークシフトは、夏の昼間など、電気の需要ピーク時における電力消費を抑えるため、電力を消費する時間帯を朝方や夜間にずらすことです。
つまり、「ピーク(頂点)」+「シフト(移す)」というわけです。
ピークシフトを行うことで、時間帯による電力消費のばらつきが抑えられます。結果的に、ピーク時の追加発電が少なくなるため、発電所にとっては、発電のための投資が削減できるほか、停電のリスクを減らせます。

ピークカットとは?ピーク時の電力を「抑える」取り組み
一方のピークカットは、ピーク時間帯の電力使用量を削減することです。
つまり、「ピーク(頂点)」+「カット(切り捨て)」であり、節電の意味が大きいといえます。
ピークシフトと同じく、ピーク時に追加で電気を発電することが少なくなるため、省エネにつながるほか、発電のための投資を削減できるのがメリットです。

ピークシフト・ピークカットの方法を具体的に紹介
次に、ピークシフト・ピークカットを行う具体的な方法について紹介します。
ピークシフトをする3つの方法
まずは電力を消費する時間帯をずらす「ピークシフト」の3つの方法について紹介します。
①電力消費パターンを変える
電化製品のバッテリーや蓄電池への充電を夜間に行い、昼間の節電を心掛けることで、ピークシフトにつなげます。
②ピークシフトプランの電気料金に契約する
電気料金プランの中には、時間帯によって値段が変わるものがあります。
そこで、昼間や朝夕は比較的高く、夜間は安い電気料金プランに加入することで、ピークシフトを心掛けます。
家庭において行うことは、上記の「電力消費パターンを変える方法」と同じく、昼間の節電と夜間の充電ですが、電気代を節約できることにより、さらにモチベーションが高まります。
③ピークシフト機能が搭載された電子機器を使う
一部の電子機器では、はじめからピークシフト機能が備わっているものがあります。
特にパソコンでは、コンセントにつなげている場合、夜間と充電が少なくなった時に自動で充電し、昼間にはバッテリーの電力を使用するように切り替わるものがあります。このような電子機器の活用も効果的です。
ピークカットをする3つの方法
つづいて、ピーク時間帯の電力使用量を削減する「ピークカット」の3つの方法について紹介します。
①昼間の電力消費を抑える
まず重要なのは、基本的な節電法を心掛けることです。
たとえば、日中の時間帯にエアコンを使わずに、夏場は打ち水を行ったり、冬場は厚着で調節したりするといった方法があります。エアコンを使う場合でも、温度設定を意識することで電気使用量を抑えられます。
②省エネルギーの電化製品を使う
近年は、省エネ効果が高いとされる家電やパソコンなどが増えています。日中の使用の際は、例えば炊飯器なら省エネ炊飯モードを使うなど、電力需要ピークを意識した使い方をするのがおすすめです。
③自家発電・蓄熱などのエネルギーを使う
太陽光発電で電気の自家消費をしたり、電気給湯機のエコキュートを使用したりするのも効果的です。これらは火力発電等に頼らないエネルギーであるため、環境への負担も少ないというメリットがあります。
太陽光発電におけるピークカットの意味は?
太陽光発電に関する話題で出てくる「ピークカット」は、しばしば上記で解説したものとは違う意味で使われることがあります。
まぎらわしいですが、一度覚えてしまえば簡単なので、ぜひ以下の解説を参考にしてください。
太陽光発電のピークカットとは、過積載による電力の切り捨て部分のこと
節電の「ピーク」が時間帯に関する言葉なのに対し、太陽光発電の「ピーク」は発電量に関する言葉として使われています。
そのため、太陽光発電におけるピークカットは、「過積載において、パワコンで処理できる容量を超えて発電された電力を切り捨てること」を指します。
切り捨てた分の電力は無駄になってしまいますが、結果的に発電できる電気の量は多くなるため、過積載はおすすめの方法です。
また、処理できる限界量のラインを、「ピークカットライン」といいます。
「太陽光発電における過積載のメリットや注意点を把握して最適化を目指そう!」でさらに詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

「太陽光発電における過積載のメリットや注意点を把握して最適化を目指そう!」でさらに詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
図のように、太陽光発電において、過積載を行い、ピークカットが発生しても、全体的な発電量は底上げされるため、自家消費すれば省エネや節電対策になります。
さらに、蓄電池や蓄熱設備に電気を貯めておけば、電気会社から買う電気量を削減できます
太陽光発電で節電としての「ピークカット」に貢献することも可能
繰り返しになりますが、太陽光発電でのピークカットは、節電のピークカットと違う意味で使われます。しかし、家庭用太陽光発電システムを使えば、節電の意味でのピークカットも可能になります。
節電の意味でのピークカットは、発電所での化石燃料などの消費を減らしたり、ピーク時の追加発電による投資を無くしたりすることを目指すものです。
太陽光発電によるエコなエネルギーを使用すれば、発電所の負担を減らして環境保護につながります。そのうえ、電力消費量の大きい昼間は、太陽光発電による電力を使用することで、火力発電などの発電所の追加発電を減らせるため、節電の意味でのピークカットにも効果的といえます。
時間帯による電力需要量の差をなくす負荷平準化の努力は、省エネ対策に必須といえます。
太陽光発電の導入に加え、蓄電池を使用したり、ピークシフトプランの電気料金に加入したりすれば、電力消費者側もお得に電気を使えるでしょう。
節電において、「ピークシフト」とは、電力を使う時間帯を電力需要ピーク時からずらすことであり、「ピークカット」は、ピーク時のそもそもの電力使用を抑えるものです。
一方、太陽光発電における「ピークカット」は、限界を超えて作りすぎた電力を切り捨てることを指します。
一見似たような言葉ですが、このように、意味はまったく違います。ぜひ用語の意味をしっかり押さえ、省エネの工夫や太陽光発電システム導入の参考にしてください。