【要注意】固定買取制度が終了すると何が起きるのか
2020.1.6

固定価格買取制度を理由に、太陽光発電システムの導入を行った人も多いのではないでしょうか。しかし、この固定価格買取制度が、2019年11月以降、順次終了(満了)を迎えます。
この記事では、固定価格買取制度終了の概要と、終了後にやるべきことについてお伝えします。
固定買取制度の概要
そもそも固定価格買取制度とは、どのような制度なのでしょうか。固定価格買取制度は、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」に基づいて、太陽光発電をはじめ風力、水力発電などによる電力を、一定の価格で電気事業者が買い取ることを義務付けた制度です。
制度の適用を受けるには、国が定めた要件を満たす事業計画書の策定が求められ、その計画に沿って新たに発電を開始する者が対象となります。
買取の対象になるのは、産業用太陽光発電システムでは、発電した電気の全量になります。また、住宅の屋根などに設置している10kwh未満の自家消費型太陽光発電システムの場合は、消費した後の余剰分の電力が買取対象となります。
なお、電力買取に要した費用は、すべての電気使用者から広く集められるようになっています。これは「再エネ賦課金」と呼ばれる制度で、毎月の電気料金と合わせて請求されています。
固定買取制度の詳しい内容は、固定価格買取制度(改正FIT法)とは?太陽光発電の売電についてわかりやすく解説をご覧ください。
買取期間満了を迎えてやるべきこと
固定価格買取制度の適用は、2019年に約53万件の太陽光発電システムで終了(満了)を迎えると言われています。これに伴い、大きな混乱が生じるのではないかと懸念され「2019年問題」と呼ばれています。
なお、所有する太陽光発電システムでの固定価格買取制度の終了については、現在の売電先である電気事業者から通知が届くことになっています。通知される時期は事業者によって異なりますが、一般的に、満了のおおよそ4〜6ヶ月前のようです。いつ満了するのかわからず不安な方は、契約している電気事業者へ直接問い合わせることもできます。

それでは、固定価格買取制度が終了した場合、何をすればいいのでしょうか。ここでは、主に3つのアクションをお伝えします。
新しい売電先を選ぶ
買取期間の終了後、売電先はどのようにすれば良いのでしょうか。基本的には、新しい電力買取事業者を自ら探して契約する必要があります。すでに、電気事業者によっては、FIT終了後の独自の買取メニューを公表しており、それに基づいてプランを選ぶことができます。
買取メニューについては、「固定価格買取制度が終了後の企業の対応」で後述します。
契約を見直す上で想定しなければならないのは、買取価格がこれまでの価格より下がることです。現在公表されている買取メニューを参照しても、価格はFIT制度適用下の48円/kwhから大幅に下落しているケースがほとんどです。
また、売電先を契約せずそのまま放置し、かつ、契約の自動更新もない場合は、電力が無償で一般送配電事業者に引き取られる可能性もあります。契約は面倒な手続きですが、確実に行うようにしましょう。
発電した電力を自家消費に使う
固定価格買取制度の適用が終了しても、設置した太陽光パネルの寿命はまだまだ先というケースがほとんどです。一般的に太陽電池モジュールの寿命は20〜30年間と言われ、長期で使用できるよう設計されています。
そのため、家庭用(住宅用)太陽光発電システムの場合は、これまで売電していた電力を消費するのも有力な手段です。新たな買取メニューを契約するより、発電した電力を自家消費して電気料金を節約したほうが、経済的なメリットが大きくなる可能性もあります。

例えば、太陽光の発電量が多い昼間の時間帯に洗濯や掃除を済ませたり、蓄電設備を利用して夜間でも使えるようにしたりという対策が考えられます。
プラグインハイブリッド車やエコキュートなどをお持ちの場合、発電した電気を充電や湯沸かしに使用することもできます。これにより、ガソリン代やガス代の節約にもつながるでしょう。
太陽光で発電した電力を「売る」だけでなく、「使う」という面でも検討してはいかがでしょうか。
信頼できる情報を収集する
固定価格買取制度の終了にともない、誤った情報も出回るようになります。
「買取期間が終了すると売電できなくなる」「早く契約しなければ、その後は契約できなくなる」「蓄電池を購入しないと太陽光発電の電気がムダになる」などといった情報が耳に入るかもしれません。
しかし、これまでお伝えしたとおり、これらの情報は嘘です。特に、売電の契約や新しい機器の購入に関しては、政府や電力会社など信頼できるところから情報を得るようにしましょう。
固定価格買取制度終了後の企業の対応
売電する上で鍵になるのは、電力会社の買取プランです。実際、どのようなプランになるのでしょうか。
太陽光チャンネルでは、大手電力事業者の買取メニューについてまとめています。現金ではなくAmazonギフト券やWAONのようなポイント付与により買取を行う電力会社もあり、さまざまな選択肢があります。詳しくは、「FIT(固定価格買取制度)終了後はどうなる?大手電力会社の対応まとめ」をご覧ください。
ここまで、固定価格買取制度が終了した際の対応をお伝えしました。なお、固定価格買取制度は太陽光発電だけでなく、他の再生可能エネルギーにも影響がありますので、注意しましょう。
これまでの買取価格から大きく変化するため、それを念頭に今後の対応を考える必要があります。満了まで時間のある場合でも、直前になって焦らないよう準備を進めておきましょう。