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日本の3大エネルギー問題をわかりやすく解説!それぞれの対策や解決策を紹介

公開:2020年12月2日
更新:2022年12月07日

日本は、化石燃料への依存度が高く、エネルギー自給率が低い、という問題を抱えています。こうした問題は、地球温暖化対策における日本の立場、国際政治や軍事問題に波及することが長らく懸念されてきました。

この記事では、日本のエネルギー供給の現状と対策、目指すべき姿について解説します。

日本のエネルギー供給の現状と問題点は?

2019年における国民1人あたりのエネルギー消費量は、カナダ、アメリカ、韓国に次いで主要国の中で4位です。カナダはエネルギー供給のほとんどを水力発電で賄っており、電力が大変安いため、1位となっています。

国別電力消費量では、中国、アメリカ、インドという巨大な人口を抱える国々に次いで、こちらも4位です。

主要国の1人あたりの電力消費量
出展:Key World Energy Statistics, IEAより作成
参考:主要国の一人あたりの電力消費量 | エネ百科|きみと未来と。

しかし、必要なエネルギーを自国内でどれだけまかなえるかを表すエネルギー自給率は主要国のなかでも低く、2019年で12.1%でした。つまり、日本で必要とされるエネルギーの大部分は、海外の資源に依存している状態です。

主要国の一次エネルギー自給率比較(2019年)
出典:IEA「World Energy Balances 2020」の2019年推計値、日本のみ資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」の2019年度確報値。
※表内の順位はOECD36カ国中の順位
参考:安定供給 | 日本のエネルギー 2021年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」 |広報パンフレット|資源エネルギー庁)

上図中縦軸は、自給率(%)ですが、ノルウェーやオーストラリア、カナダにおける100%以上の電力自給は、電力の輸出を表しています。ノルウェーやカナダは主に水力発電で発電した電力の一部を欧州やアメリカに輸出し、オーストラリアは石炭や天然ガスを輸出しています。

また、エネルギー国内供給構成の内訳をみると、石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料依存度が2019年度で84.8%となっています。

出典:資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」の2019年度確報値
※四捨五入の関係で、合計が100%にならない場合がある。
※再エネ等(水力除く地熱、風力、太陽光など)は未活用エネルギーを含む。
参考:安定供給 | 日本のエネルギー 2021年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」 |広報パンフレット|資源エネルギー庁

一方、温室効果ガスを排出しない太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー比率は8.8%に留まっています。

こうした現状から、日本では「 ①エネルギー自給率の低さ」、「②化石燃料依存度の高さ」、「③再生可能エネルギー普及の遅れ」という3つのエネルギー問題が存在します。以下では、これら問題について詳しく解説します。

エネルギー問題①エネルギー自給率が低い

エネルギー自給率が低いことは、他国と資源獲得競争に至るリスクを高めます。ここでは、日本のエネルギー自給率に関する問題を見ていきましょう。

日本のエネルギー自給率は2014年に過去最低の6.4%を記録し、その後2017年には9.6%、2019年には12.1%まで上昇しているものの、世界的に見ると低い水準です。OECD(経済協力開発機構)加盟の35ヶ国の中で、2019年における日本のエネルギー自給率は35位でした。

エネルギー供給源の大部分を海外に頼るなかで、特に化石燃料である石油は、政治情勢が不安定な中東地域からの輸入に依存しています。万が一、紛争などにより輸入がストップすればエネルギー不足につながります。

エネルギー不足になる可能性も

また、OECD内に設立された国際エネルギー機関IEAによると、世界のエネルギー需要量は2040年まで毎年1.3%ずつ増加していくと予想されています。そのため、自給率が低いアジアなどのエネルギー消費国同士で競争が激化する可能性も考えられます。

新型コロナウィルスやウクライナ侵攻によるサプライチェーンの寸断

2020年の初め頃から感染が拡大した新型コロナウィルスは、エネルギー供給にも影響を及ぼしています。

世界各地で車や航空機の稼働が減少したほか、工場の生産ストップなどにより、石油の消費量も激減しました。石油の需要が減ったことで、かつては1バレル50ドルほどだった原油価格は、2020年の4月初旬には20ドルまで大暴落しています。

逆に、東欧の不安定な情勢はエネルギー価格の高騰を引き起こしました。2022年2月に始まった、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、原油価格は、3月7日に1バレル130ドルを記録します。ロシアへの経済制裁によってエネルギー資源の供給が止まった欧州諸国では、電気代価格が侵攻前と比べ2倍以上に上昇した地域もありました。

他方、東アジア地域では、中国による台湾進攻の可能性が高まっています。現実に中国が侵攻を始めれば、中国とのサプライチェーンは寸断され、中国からの輸入に頼っているエネルギー資源の供給は止められてしまうことになるでしょう。

エネルギー資源は、こうした世界情勢の影響を受けやすい戦略物資です。サプライチェーンの寸断による国内経済への影響を小さくするためには、エネルギー自給率の上昇が欠かせません。

エネルギー問題②化石燃料への依存率が高い

2つ目の問題は、国内のエネルギー消費量における化石燃料への依存率が高いことです。

日本には、もともと化石燃料を利用する火力発電への依存度が高い傾向がありました。さらに、2011年の震災以降、化石燃料依存率は5%ほど上昇しています。この上昇は、原子力発電所の稼働停止で不足した電力供給を火力発電によって補ったことが原因です。

火力発電は、地球温暖化の要因である温室効果ガスを排出します。温暖化防止のためには化石燃料への依存率を下げ、二酸化炭素の排出量を減らすことが重要です。

化石燃料への依存度が高い

温暖化対策への国際的な取り組みとして、2015年にはパリ協定が合意されました。日本はパリ協定によって、2030年までに2013年度と比較した温室効果ガスを26%削減する目標を掲げています。

パリ協定で定められた世界各国の目標や、2019年にアメリカが離脱した経緯については、「パリ協定とは?日本の取り組みやアメリカ離脱の経緯をわかりやすく解説」をご覧ください。

火力発電による二酸化炭素の排出量を減らすには、化石燃料を利用しない再生可能エネルギーに代替していく必要があります。太陽光発電や水力発電、風力発電など、二酸化炭素が発生しない発電方法の普及が今後の課題です。

日本政府は、2030年に達成されるべき電源構成として、エネルギーミックスとよばれる考え方を重視しています。エネルギーミックスとは、さまざまな発電方法を最適に組み合わせることです。

エネルギーミックスの具体的な目標や、実現のポイントについては「エネルギーミックスとは?日本のエネルギー事情をふまえて解説」で詳しく解説しています。

エネルギー問題③再生可能エネルギーの普及と電気料金の高騰

再生可能エネルギーの普及と、それに伴う電気料金の高騰は、国内の重要なエネルギー問題の1つです。2017年度と2010年度で日本の電気料金を比較すると、家庭向けで約16%、産業向けで約21%上昇しました。

化石燃料を使用する火力発電は、資源が輸入頼りのためコストが上がりやすいことが問題です。そのため、原油価格が上昇してもコストが変わらない再生可能エネルギーの普及が推進されています。

また、近年では温室効果ガス削減のためにも、供給における再生可能エネルギーの割合を増やす施策がとられてきました。

政府は、エネルギーミックスの目標を実現するための施策として、再生可能エネルギーの固定価格買取制度を導入しました。この制度では、再生可能エネルギーで発電された電気は電力会社に買い取られることを国が保証します。

電気料金の高騰が問題に

しかしこの制度は、電力会社が再生可能エネルギーを買い取るコストの一部を、再生可能エネルギー賦課金(再エネ賦課金)として電力消費者が負担する仕組みとなっています。つまり、電気を使う国民から少しずつ費用を集めて再生可能エネルギーの普及に充てるという制度であるため、電気料金が高騰する要因となっています。

再エネ賦課金については「再エネ賦課金とは?再生可能エネルギー発電促進賦課金を徹底解説!」の記事もご参照ください。また、再生可能エネルギーの課題は「再生可能エネルギーの課題とは?導入や活用における課題を解説」の記事で詳しく紹介しています。

エネルギー問題の対策・解決策は?第6次エネルギー基本計画を解説

エネルギー問題の解決策として、個人で取り組める対策と、政府が定めた第6次エネルギー基本計画について解説します。

個人の取り組みでは、日常生活における省エネや、太陽光発電システムの導入などが挙げられます。また、再生可能エネルギー利用率の高い新電力会社を利用することも、上で述べたエネルギー問題への対策となります。

新電力に関する詳しい内容は「新電力を比較するポイントを解説!卒FIT後の買取に対応する新電力も」の記事をご参照ください。

なお、政府は2021年10月に第6次エネルギー基本計画を定めました。ここでは、「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けたエネルギー政策の道筋が示されています。

再生可能エネルギー技術や脱炭素技術など、日本が保有する高い技術力を活用し、産業エネルギー効率を高めていくことが骨子です。それら技術には、水素・アンモニア発電や、CCUS技術、カーボンリサイクルによる炭素貯蔵・再利用を前提とした火力発電などに言及されています。

アンモニア発電やCCUSについては、「アンモニア発電とは?アンモニア発電のメリットと脱炭素社会の実現に向けた課題」、「CCUSとは?CO2を再利用して排出量削減に導く取り組みを解説!」も併せてご参照ください。

また、近年の欧州では自動車のEV化が進められていますが、日本はこの分野において大きく後れを取りました。第6次エネルギー基本計画では、「国際的ルール形成」を主導することにも関心が置かれています。

エネルギー問題は、国際政治や軍事、経済と大きく関わる分野であるため、諸外国との協力やルール形成を抜きにして考えることはできません。
参考:第6次エネルギー基本計画が閣議決定されました (METI/経済産業省)


この記事では、日本のエネルギー供給の現状や問題点、今後必要とされる対策について解説しました。再生可能エネルギーや脱炭素に向けた新技術を活用し、国際社会と協調しながら化石燃料への依存度を下げていくことが日本の課題です。

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