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資源エネルギー庁とは?設立の背景や役割を解説!太陽光発電との関係も

世界中でエネルギー問題への取り組みが行われる近年、日本国内では資源エネルギー庁によって様々な政策が進められています。
資源エネルギー庁は、政府機関のなかでも特に太陽光発電事業との関わりが深い組織です。

この記事では、資源エネルギー庁の概要や政策内容について解説します。

資源エネルギー庁とは?設立の背景も

資源エネルギー庁とは、日本における行政機関の1つです。経済産業省の外局である資源エネルギー庁は、国内のエネルギーに関する専門性の高い業務を管轄しています。

レアメタルをはじめとする鉱物資源や、電力等のエネルギー供給を確保することと、適正な利用の推進を図ることが資源エネルギー庁のおもな任務です。

資源エネルギー庁が設立された背景には、1973年に起きた第一次オイル・ショックがあります。当時、通商産業省に属していた鉱山石炭局と公共事業局が統合され、1973年7月25日に資源エネルギー庁が設立されました。

資源エネルギー庁設立の背景

資源エネルギー庁が担う役割と政策

資源エネルギー庁は、国内における様々な種類のエネルギーについて取り組んでいます。エネルギーの安定供給や、エネルギーに関する法整備、国外組織との交渉などが資源エネルギー庁のおもな役割です。

ここでは、資源エネルギー庁が担う役割と政策について 以下の3つを詳しく解説します。

  • エネルギーの安定供給
  • 省エネルギーや再生可能エネルギーなどの新エネルギー政策
  • その他のエネルギーについて

エネルギーの安定供給

資源エネルギー庁が担う「電力システム改革」は、エネルギーの安定供給を確保するための取り組みです。エネルギーを安定供給するため、送電設備や電気料金などの仕組みが政府主導で見直されています。

電力システム改革の第1段階として、2015年に電力広域的運営推進機関が設立されました。地域によって電気の周波数が異なることが、地域間をまたぐ電力輸送を難しくしていた原因です。新たに設置された機関によって周波数が調整され、発電所の全国的な活用が可能となっています。

電力システム改革の第2段階では、電気料金の抑制を目的として、小売・発電の自由化が行われました。自由化によって価格競争を促進し、電気料金を安く抑えることが資源エネルギー庁によって行われる政策の1つです。

電力システム改革の第3段階では、電気利用の選択肢や、新たな企業が電気事業に参入する機会の拡大が目指されています。既存の電力事業者が、新たな企業に対して不公平な取り組みを行わないよう、平等性を確保することが資源エネルギー庁の役割です。

省エネ

省エネルギーや再生可能エネルギーなどの新エネルギー政策

資源エネルギー庁には省エネルギー課や新エネルギー課などの下部組織があり、下記のような様々な政策に取り組んでいます。

省エネルギー政策

省エネルギー分野では、法的な規制措置や補助金による支援などが主な取り組みです

  • 省エネ法などの規制措置

省エネ法の正式名称は「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」で、特定の事業者に対する規制が定められています。

省エネ法の対象となる主な事業者は、工場を設置している事業者や輸送事業者、自動車や家電製品の製造事業者などです。これらの事業者には、省エネの取り組みを実施する際に目安となる基準が示されています。

各種事業者が守るべき項目は、設備管理の基準やエネルギー消費効率の目標値などです。取り組みが不十分とみなされた事業者は、指導・助言や勧告の対象となります。

  • 補助金などの支援

資源エネルギー庁によって用意される補助金は様々です。主な補助金として、省エネルギー投資促進に向けた支援補助金や、中小企業等に対する省エネルギー診断事業費補助金、運輸部門省エネルギー化推進事業費補助金があります。

省エネルギー投資促進に向けた支援補助金は、工場などへの省エネ設備導入や、次世代省エネ建材の実証などを行う事業が支給対象です。
中小企業等に対する省エネルギー診断事業費補助金は、省エネに関する相談・支援、情報提供を行う事業が支給対象となります。
運輸部門省エネルギー化推進事業補助金は、貨物輸送の効率化を行った運輸事業者などが支給対象です。

資源エネルギー庁の補助金制度

新エネルギー政策

新エネルギー分野では、各種法整備や技術開発、設備設置の補助などが行われています。

  • 再生可能エネルギーに関する法整備

再生可能エネルギーとは、太陽光発電や風力発電など、燃料の消費を伴わない方法によって得られる電気のことです。新エネルギー政策では、再生可能エネルギーの扱いに関する法制度が整備されています。

2011年に定められた「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」などが一例です。この制度は、太陽光や風力、水力などによって得られた電気を、電気事業者が買い取ることを義務付けています。

特別措置法によって再生可能エネルギーが普及した一方、国民負担が増大したことから、2017年には法改正が実施されました。新しい制度では、国民負担の抑制と再生可能エネルギー導入の両立が目指されています。

  • 低コスト化や性能向上のための技術開発

再生可能エネルギーの活用のほか、燃料電池の低コスト化や発電効率向上のための技術開発も、資源エネルギー庁による取り組みの1つです。

資源エネルギー庁は、研究機関や民間企業などとの産学官の連携のもと、様々な技術開発に取り組んでいます。太陽光発電や風力発電、バイオマス発電などの低コスト化に必要な実証実験は、政府による支援の対象です。

これらの実証実験は将来的なエネルギー問題解決につながる可能性があるものの、短期的・直接的な収益が生まれません。そのため、政府が支援を行うことで研究開発を促進しています。

  • 設備設置の補助

新エネルギーを導入する事業者に対する補助も、資源エネルギー庁による政策の1つです。環境を考慮した学校施設づくりや、大規模太陽光発電施設の共同利用、クリーンエネルギー自動車の導入などの事業に対して、補助金が用意されています。

電力買取負担のコストカット

その他のエネルギー

世界的な石油採掘量の減少にともなって、ガソリンや石油製品価格が今後高まっていく可能性が高いです。そこで、資源エネルギー庁では石油や液化天然ガス(LNG)確保のための調査や輸入ルートの構築に力を入れています。

石油の探鉱から生産、輸送、販売までの事業を一貫して行う石油メジャーとの交渉も、資源エネルギー庁の役割です。

また、近年では供給リスクが高まる石炭やレアメタルなどの鉱物資源について、供給源の確保が重要になってきました。
資源エネルギー庁では、代替となる資源の活用や、資源国との対話を通じて鉱物資源の確保に取り組んでいます。

資源エネルギー庁と太陽光発電との関係は?

資源エネルギー庁が管轄するFIT制度(固定価格買取制度)は、太陽光発電と関係の深い制度です。

FIT制度では、太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーによって発電した電気を、電力会社が一定の価格で買い取ることが保証されています。

政府の定める要件を満たした事業計画に基づき、太陽光発電や風力発電を行った場合、電力会社への売電が可能です。太陽光発電を行う事業者や投資家を増やし、再生可能エネルギーを普及させることがFIT制度の狙いです。

FIT制度については、「固定価格買取制度(改正FIT法)とは?太陽光発電の売電についてわかりやすく解説」の記事で詳しくご覧いただけます。


この記事では、エネルギー問題の解決に向けて様々な取り組みを行う資源エネルギー庁について解説しました。資源エネルギー庁は電力供給の確保や、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの普及、技術開発などの役割を担っています。

太陽光発電事業や、省エネルギー化に関係した事業を行う場合、資源エネルギー庁の動向を知ることが重要です。
発電事業に携わる方は、補助金や各種制度の内容について、資源エネルギー庁が発表する最新の情報をチェックしてみてはいかがでしょうか。

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