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COP26とは?議論の争点から日本の提言内容を紹介!気温上昇の目標にも変化が

2021年11月、世界各国首脳がイギリスに集い、気候変動や地球温暖化について話し合った COP26 について、議論の争点となった内容や日本の提言、COP26 で得られた成果を解説します。

COP26とは

COP(Conference of the Parties)とは、1992年に作成された「気候変動枠組み条約」の締結国の間で行われる会議であり、地球温暖化や気候変動について各国首脳が話し合います。

第3回締約国会議(COP3、京都会議)では、法的拘束力のある数値目標である京都議定書が採択されました。COP21 ではパリ協定が定められ、より多くの国が地球環境保護に参画しています。

第26回となる COP26の議長国はイギリスです。当初は2020年11月9日から11月20日の開催予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で延期され、2021年11月1日から12日の日程で開催されました。京都議定書やパリ協定で定められた目標に向けて、各国がより現実的に取り組みを示し、国際的なルールを定めることを目的としています。

地球環境保護を考える

COP26 における議論の争点

COP26 で話し合われた内容は多岐に渡りますが、注目すべき争点が幾つかあります。

温室効果ガス削減目標

COP21 のパリ協定では、産業革命からの世界の平均気温上昇を「2度未満」に抑える、加えて、平均気温上昇「1.5度未満」を目指すことが定められました。現状、世界の温室効果ガス排出状況を見ると、この目標の実現はかなり難しいため、COP26 では、より高い目標設定が求められます。

一方で、排出量がそれほど多くない発展途上国にとって、各国一律で定められる排出削減目標は「過剰に経済発展を阻害するもの」として反発を受けていました。

途上国に対しても排出削減目標を課すためには、先進各国の更なる目標引き上げや、排出削減に対する経済的報酬制度制定が求められます。

被害軽減適応支援

地球温暖化を防ぐことと同時に必要となるのが、既に地球温暖化の被害を受けている、または将来的に被害を受ける可能性のある国への被害軽減支援です。

海面上昇による土地の減少、温度上昇による異常気象などの影響を受けている国は、東南アジアの沿岸国やアフリカなどの発展途上国が多く、先進国からの支援が欠かせません。

海面の上昇

パリ協定のルールブック

パリ協定では、気候変動に関する世界共通の1つのルール(パリルールブック)を作成しました。

この中には、気候変動対策に市場メカニズムを取り込み、功利的な温暖化ガス排出削減を進めています。すなわち、気候変動対策をビジネスにしようとしたのです。

パリルールブックに関して、日本は「二国間クレジット制度(JCM:Joint Crediting Mechanism)」の制定を進めています。これは、低炭素技術を途上国に導入することを先進国が支援し、導入した技術で途上国が削減した温室効果ガス排出量を先進国と分け合う、という制度です。

途上国は先進的な技術の導入支援を受けることができ、先進国は自国の温室効果ガス排出量削減を進めることができます。

石炭火力発電の廃止

EU圏各国は、2030年までに石炭火力発電を廃止する方針を次々に打ち出しており、世界的に石炭火力発電は槍玉に挙げられています。

一方で、アメリカ、中国、日本などは、再生可能エネルギーの導入が難しい地勢的理由や自国経済の優先など、様々な理由から石炭火力発電廃止に消極的です。

こうした点が今回の議論の争点となりました。

世界的問題

COP26での日本の提言

以下では、日本が COP26 で提言した内容を紹介します。

日本の提言内容

COP26 でスピーチを行った岸田首相の発言内容をまとめると以下のようになります。

  1. 2050年カーボンニュートラルを長期目標とし、2030年度に、温室効果ガスを、2013年度比で46パーセント削減する。
  2. 防災など、気候変動に適応するための支援を倍増し、約148億ドルの支援を行う。
  3. 「アジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ」を通じ、化石火力を、アンモニア、水素などのゼロエミッション火力(※2)に転換するため、1億ドル規模の事業展開を行う。
  4. 先進国全体で年間 1000億ドルの資金を提供する目標の不足分を補うべく、2021年6月に表明した、5年間で600億ドル規模の支援を行うことに加え、新たに5年間で100億ドルの追加支援を行う用意がある。

カーボンニュートラルについては「カーボンニュートラルとは?目的や取り組み、企業事例も含めて解説!」で詳しく解説しております。

ゼロエミッションについて詳しく知りたい方は「ゼロエミッションとは?実現に向けた対策や事例、課題を紹介!」をご覧ください。

難しい立場の日本

COP26 の成果について

以下では、COP26 の主要な成果について紹介します。

世界標準となった “1.5度” 目標

今回新たに各国が提出した長期の排出削減目標を達成することができれば、地球の平均気温上昇を 1.8 ~ 1.9度に抑えることができる、と様々な研究機関が試算を出しました。

COP26 の開催直前に国連に提出された報告書においては、2.7度の気温上昇が懸念されていたことから比べれば、大きな成果と言えるでしょう。

COP26 では、世界全体として更なる排出削減を目指し、平均気温の上昇を「1.5度」に抑えることを決定しました。

今後の気候変動対策は、世界全体として、「1.5度」が基準となっていくでしょう。これに伴って、2030年までの各国の目標も見直しが求められています。

適応支援の強化

COP26では、これまであまり議論されていなかった、気候変動の被害と補償についても議論が進展しました。

これまで気候変動の被害を補償することを忌避してきた先進諸国の態度が軟化し、様々な国から自主的な支援の声が上がりました。日本もその1つです。

今回は、支援のための機関・基金の設立まで合意には至りませんでしたが、今後とも議論を深めていくことになりました。

パリルールブックの完成

2015年にパリ協定が採択されてから長らく議論が続けられていたパリルールブックの詳細についても、ようやく今回で合意が形成され、パリルールブックを完成することができました。

日本が進めていた二国間クレジット制度もルールブックの中に含まれています。市場原理を取り入れた排出抑制の仕組みは、今後、世界中で環境保全のための様々なビジネスや技術の発展を加速させていくことでしょう。

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