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アグリゲーターとは?太陽光発電における意味や役割を解説!

近年、災害対策や環境への配慮という観点から、エネルギーマネジメントの重要性が叫ばれています。そんな中、再生可能エネルギーの普及とともに重要視されているのが、電力の需給バランスの最適化です。

こちらでは、電力需給バランスを良好にするために重要な役割を担う「アグリゲーター」についてお話しします。

アグリゲーターとは?太陽光発電での意味を理解しておこう!

「アグリゲート(aggregate)」は「集める(動詞)」「集合(名詞)」といった意味の英単語です。「アグリゲーター」は「集める人」という意味であり、電力・電気業界では「電気の需要と供給をとりまとめる業者」を意味します。

アグリゲーターの役割は「電力・需要のバランスを最適化し、安定供給を実現すること」です。

大型の発電施設では、原則として大量の電気を貯めておくことができません。そのため、電力需要のピークに備え、ピーク時に対応できる規模の設備を用意しておかなければなりません。そうすると、ピーク時以外は少なからず発電の無駄が生じます。

そこで、アグリゲーターが行う仕事のひとつが、ピーク時の電力需要制限です。

一般家庭や事業所など電気の需要家に節電を呼びかけ、需要を低下させます。需要制限が成功すれば、発電施設はピーク時に合わせて規模を拡大する必要がなくなり、無駄な発電が軽減されます。

また、新たな電力需要を作り出すのもアグリゲーターの仕事です。太陽光発電など再生可能エネルギーによる発電は地球環境への貢献が期待されていますが、需要がなければ普及は見込めません。日照時間の長い夏季など、再生可能エネルギーが多く発電できた時、アグリゲーターは需要家と発電事業者をつなげることで需要を創出します。

日本では2012年ごろからアグリゲーター事業が活発化しはじめました。電力会社がアグリゲーター事業を行う例のほか、別の事業者がアグリゲーターとなる例も一般的です。

アグリゲーターにより分散型エナジー社会を実現!ネガワット取引ってなに?

アグリゲーターが行う仕事のひとつが「ネガワット取引」です。「ネガワット」とは「負」を意味する「ネガティブ」と「電力」を意味する「ワット」を組み合わせた造語です。節電された電力、もしくは発電されたのち消費されず余った電力を意味します。

アグリゲーターはネガワットを集め電力会社に売却し、さらにその報奨金の一部を節電した需要家や発電してネガワットを創出した事業者に還元します。太陽光発電による余剰電力もネガワット取引の対象です。今後の太陽光発電の余剰電力の売買システムの中核となる取引として期待されています。

アグリゲーターの役割

アグリゲーターと電力の関係は?DRやVPPで果たす役割

アグリゲーターにまつわるキーワードとして「ディマンドリスポンス(DR)」と「VPP」が挙げられます。それぞれについて以下でくわしくお話ししましょう。

アグリゲーターを使って需要制御をするディマンドリスポンス

「ディマンドリスポンス(DR)」は、上述した「電力の需要・供給バランスを最適化する」というアグリゲーターの取り組みを総称する言葉です。

DRは電力の需要を減少させる「下げDR」、需要を増加させる「上げDR」に分けられます。また、双方を細かく切り替え、「上げ下げDR」を行うこともあります。

下げDRには電気料金の値上げにより需要を下げる「電気料金型」と、節電に報酬を与えることで需要を低減させる「インセンティブ型」がありますが、上述したネガワット取引はインセンティブ型DRのひとつです。企業だけではなく、一般家庭などの小規模な需要家も、アグリゲーターと契約していれば下げDRに参加できます。

上げDRは、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーのように、発電量が安定していない場合に実施されるDRです。条件が良く、発電量が極端に大きくなった場合などに、電力の需要を増やし、需要と供給のバランスをとります。

ディマンドリスポンスについては、「ディマンドリスポンス(DR)とは? ネガワット取引との関係や期待されることを詳しく解説」で詳しく紹介しています。

アグリゲーターとIoTをつなげて仮想発電所を作るVPPとは?

アグリゲーターによる電力需要の調整・必要に応じた電力供給には、IoT(Internet Of Things)の技術が活用されています。いくつかの小規模な発電施設がIoTによって集約される電力供給のスタイルは、実在するひとつの大きな発電所のように機能することから「VPP(Virtual Power Plant:仮想発電所)」と呼ばれています。

VPPにおいては、「リソースアグリゲーター」「アグリゲーションコーディネーター」の2種がアグリゲーターの大きな役割です。

リソースアグリゲーターは、各需要家と契約し、電力リソースの調整を行う立場です。アグリゲーションコーディネーターは、リソースアグリゲーターが調整した電力をとりまとめ、配電事業者、小売電気事業者と電力取引を行います。

リソースアグリゲーターとアグリゲーションコーディネーター

VPPについては、「VPP(バーチャルパワープラント)とは? 太陽光発電で補助金がもらえる?【2019年版】」で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。


太陽光発電は、普及が期待されている一方で、供給量が安定していないというデメリットがあります。

アグリゲーターによるDRが機能すれば、電力需要と供給の良好なバランスが維持されます。そのため、太陽光発電の安定的な利用と普及を実現するうえで、アグリゲーターは重要な役割を果たすといえます。

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