家庭用蓄電池の価格は?メリットや補助金、種類ごとの相場をまとめて解説
2021.1.15

蓄電池とは、充電することで繰り返し使用できる電池のことで、家庭用の小型のものやモバイルバッテリー、産業用の大規模蓄電池など様々なものがあります。
近年、災害時の停電対策として蓄電池を家庭に設置するなど、蓄電池の需要が高くなってきています。
この記事では、家庭用蓄電池とはどのようなものか、メリットやデメリット、さらに蓄電池の価格相場などについて詳しくまとめます。
家庭用蓄電池とは?メリット、デメリットを解説!
蓄電池とは、充電することで繰り返し使用できる電池のことです。
電池には、熱や光などから電力を発生させる物理電池と、化学反応により電力を発生させる化学電池がありますが、蓄電池は化学電池に分類されます。
蓄電池は充電可能な電池なので充電式電池(充電池)、あるいは充電ができない一次電池に対して二次電池と呼ぶこともあります。
蓄電池はあらかじめ充電しておくことで、必要な時に電力を使用することができます。
スマートフォンのモバイルバッテリーなどは最も身近な蓄電池でしょう。
蓄電池には様々な種類があり、価格や大きさ、どれだけの電力を蓄えることができるかがそれぞれ異なります。
モバイルサイズのものから、産業用の大きなものまでありますが、この記事では主に、家庭の非常電源として利用できるものについて解説します。

太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、自然条件に左右されることが多く、発電できるタイミングと、電力需要のあるタイミングが一致するとは限りません。
そのため、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入の際、蓄電池を併せて設置することで、発電したタイミングで蓄電しておき、需要に応じて電力を使用できるようになり、システムの利便性を高めることができます。
近年、太陽光発電システムとの併設だけでなく、災害時の非常電源としての利用や住宅のZEH化など、蓄電池そのものの需要も高くなってきています。
太陽光発電の仕組みやメリットなど、太陽光発電システム全般についてより詳しく知りたい方は「太陽光発電システムの基礎知識【よくわかるまとめ】」をご覧ください。
ZEHについて詳しく知りたい方は「ZEH(ゼッチ)ってなに?補助金をもらう条件や住宅への導入事例を解説」にまとめましたので、併せてご覧ください。
家庭用蓄電池のメリット・デメリット
家庭用蓄電池を設置することによるメリットはいくつかあります。
例えば、災害時や電力トラブル等による停電時に非常用電源として利用でき、スマートフォンの充電や、冷蔵庫の食材の保護、テレビによる情報収集など、様々な用途に使用できます。
また、電力会社との契約には様々なプランがあり、時間帯別に電気料金が異なるプランがあります。
日中は電力需要が大きいため、そのようなプランでは夜間の電気料金が安く設定されています。
家庭用蓄電池を導入し、夜間に充電しておくことで、日中に夜間の安い電力を使用できるようになるため、電気料金を安く抑えることができるようになるのも、蓄電池導入のメリットです。
さらに蓄電池は、太陽光発電システムと連携させることで、昼に発電した電力を夜間に使用することができるようになりますし、近年は電気自動車を蓄電池として電力を利用する動きもあります。
ただし、蓄電池の設置には当然、購入費や設置費などの初期費用がかかりますし、モバイルバッテリーなどと同様に充放電を繰り返すことで劣化するため、定期的な買い替えが必要です。
また、容量の大きい蓄電池ほど、サイズも大きくなりますので、設置スペースについても考慮してから購入を検討しましょう。

蓄電池のメリットとデメリットについては「太陽光発電があれば災害時の停電も安心?自立運転の使い方についても紹介」に詳しくまとめましたので、併せてご覧ください。
蓄電池に産業用はある?
家庭用蓄電池と産業用蓄電池の大きな違いは容量です。
産業用蓄電池は公共施設や産業用発電設備など、家庭で使用するよりも多くの電力が必要な場所に設置されるため、家庭用蓄電池より大きな容量の蓄電池が必要です。
また、病院などに設置される場合は、電力が命に直結する場合もあるため、十分な電力を蓄えておく必要があります。
蓄電池は一般的に要領に従ってサイズも大きく、価格も高くなるため、産業用蓄電池は家庭用蓄電池よりも大型で高額なのが一般的です。
また、家庭用蓄電池はリチウムイオン電池であることが主流ですが、産業用蓄電池はリチウムイオン電池に加えて、より大規模・安定供給に適したナトリウム・硫黄電池を使用することもあります。
家庭用蓄電池 | 産業用蓄電池 | |
容量 | 産業用に比べると少ない | 大容量 |
サイズ | コンパクト | 大型 |
価格 | 産業用より安価 | 高額 |
種類 | 主にリチウムイオン電池 | リチウムイオン電池 ナトリウム・硫黄電池(NAS電池) |

家庭用蓄電池の価格は?種類ごとの相場をご紹介
蓄電池の導入には、本体の購入費用と設置費用がかかり、蓄電池はポータブル型と定置型があります。
ポータブル型は家庭用コンセントに接続するだけで使用できますが、太陽光発電等の蓄電池としては使用できません。
定置型の設置にはパワーコンディショナーとの配線工事や電気系統の工事が必要で、100万円前後の設置費用がかかります。
蓄電池本体の費用は、メーカーや蓄電池の種類、容量などによって様々ですが、概ね以下のような相場です。
電池の種類 | 1 kWhあたりの価格 |
鉛蓄電池 | 5万円 / kWh |
リチウムイオン電池 | 20万円 / kWh |
ナトリウム硫黄電池 | 4万円 / kWh |
ニッケル水素電池 | 10万円 / kWh |
蓄電池の価格相場については「家庭用蓄電池の価格相場は?太陽光発電で欠かせない蓄電池を徹底比較!」に、メーカーごとにまとめましたので、併せてご覧ください。
家庭用蓄電池は補助金制度の対象!お得に購入するには?
家庭用蓄電池を対象とした補助金は、国(環境共創イニシアチブ / SII)による補助金と、地方自治体による補助金の2つに大別されます。
SIIの補助金(災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業費補助金)に関しては、2020年12月時点では、公募は終了しています。
SIIの補助金制度は予算が無くなり次第終了しますので、今後追加公募される可能性もありますが、現在のところ不明です。
国による太陽光発電システムの補助金は終了していますが、自治体によっては蓄電池の購入や太陽光発電システムの導入をする方を対象にした補助金制度を実施している場合があります。
また、東京電力のエリアではVPP構築実証事業に参加することで、蓄電池の設置に対する補助金を受け取ることができます。
VPPとは、従来の大規模電源依存の電力需要ではなく、各地の小型発電システムをネットワーク制御・マネジメントするようなシステムのことです。 詳しくは、VPP(バーチャルパワープラント)に関する記事をご確認ください。

太陽光発電と蓄電池の補助金については「【2020(令和2)年度版】自家消費型太陽光発電&蓄電池の補助金を解説」をご覧いただければ幸いです。
家庭用蓄電池と太陽光発電の組み合わせでさらにお得に!
蓄電池は太陽光発電システムを効率的に利用するために、非常に有効な装置です。
太陽光発電システムは一定以上の日光がパネルに当たることで発電しますので、日中にしか発電できません。
しかし、太陽光発電システムと蓄電池を組み合わせることで、日中発電した電力を夜間にも使用することができるため、電気料金の節約が可能です。
さらに大雨、台風、地震等の災害で停電しても、システムに破損がなければ太陽光発電システムによる発電、蓄電をすることができます。
既に太陽光発電システムを導入済みの方でも、蓄電池を後付けすることが可能です。
ただし、蓄電池を後付けする際には、蓄電池用のパワーコンディショナーを導入する必要がありますので詳しくは「太陽光発電システムに蓄電池を後付けするには?パターン別に解説!」をご覧ください。
この記事では、家庭用蓄電池について詳しくまとめました。
近年、電気料金の節約のため、あるいは地震などの災害に備えて等、蓄電池の需要が高くなってきています。
一方、以前に比べて価格は安価になってきており、蓄電池を太陽光発電システムと併せて導入することで、システムの利便性をさらに上げることができます。