HEMSとは?導入のメリットや注意点、気になる補助金について解説
2020.5.8

HEMS(ヘムス)というシステムをご存知でしょうか? エネルギー使用状況を“見える化”することにより、省エネ・節電効果を住宅にもたらすシステムです。さらに、住宅内の快適性も向上するといわれています。
この記事では、HEMSの概要や具体的なメリット、導入するうえでの注意点などについて解説します。
HEMS(ヘムス)とは?家庭の電気消費を把握して省エネ!
HEMSとは「Home Energy Management System」の頭文字をとった言葉です。家庭内の電気設備やHEMSに対応した家電などのエネルギー使用量・稼働状況をモニターなどで“見える化”。電力使用状況などを把握したうえで、電力使用量などを管理できるシステムです。
HEMSの導入により、住宅における電力使用の最適化が可能になります。
省エネや環境への配慮の重要性が日本でも叫ばれるなか、政府は2030年までにすべての住居にHEMSを導入することを目標として掲げています。目標設定直後の2015年時点ではHEMS導入率は0.4%以下でしたが、今後は徐々に普及していく可能性があります。
似たような言葉に「BEMS(ベムス)」があります。こちらは、建物全体でのエネルギー管理システムを指します。詳しくは、BEMSについて紹介した記事がありますので、そちらをご覧ください。

HEMSを導入するメリットは?何ができるの?
HEMSの導入によってどのようなメリットが期待できるのでしょうか?
ここでは、代表的なメリットをご紹介します。
節電効果
HEMSでは、住宅内のエネルギー状況を管理できます。例えば、太陽光発電によりどれくらいエネルギーが作られたのか、冷蔵庫・冷房などがどのくらい電力を消費したのかを、モニターなどで把握することが可能です。
このことから、住んでいる方が自分のエネルギー使用傾向を把握し、能動的にエネルギーの最適化を実施できるようになります。無駄なエネルギー消費に気づくことで、自然と省エネ思考になる方が多いようです。
暮らしの快適性向上
エアコンや冷蔵庫、テレビなどHEMSに対応した家電とネットワーク接続するとスマホやタブレットなどから、家電を遠隔で操作することができます。
例として、電気使用量の大幅な増加を検知してエアコンの温度を制御、電気を消し忘れた際に外出先から消灯、帰宅時間に合わせて湯沸かし、といった操作も可能です。このようにHEMSを活用すれば、暮らしの快適性が向上します。

HEMS導入前の注意点
HEMS導入前に知っておきたい注意点として、HEMSの導入時には、工事や機器の購入などの初期コストが高くなることがあげられます。導入後は節電効果が得られ、長期的にみるとエネルギー消費コストは低減できるものの、初期費用がネックになる人もいるようです。
そういった場合は、国や地方自治体の補助金などを上手に活用するのがおすすめです。
HEMS導入に必要なツールと導入の流れ
HEMSを始める際に準備する機器は次の通りです。
- HEMSに対応した分電盤
HEMS対応分電盤は、一般的な分電盤に通信機能と各回路の消費電力測定機能が搭載されたものです。25,000~200,000円と価格帯が幅広く、スペックも価格によって異なります。
- 電力測定装置、情報収集装置
家電の電力消費量を把握するための「電力測定装置」や、家電をネットワークに接続する際に必要になる情報収集装置が必要です。
- モニター等
電力の利用状況を確認したり操作したりするための専用モニターが必要になります。なお、クラウド型のHEMSを利用している場合は、スマホやタブレットなどから電力利用状況などを確認することもできます。
- HEMSに対応した家電
パナソニック、東芝、シャープなど大手メーカーが、HEMSに対応したエアコン、冷蔵庫、IHクッキングヒーター、テレビなどの対応モデルをリリースしています。

HEMS導入の流れ
HEMSを導入する際には、まず分電盤(ブレーカー)に電力測定ユニットを設置し、HEMSに対応した電気機器をネットワークに接続させます。すると、システムに組み込んだモニターやネットワーク接続したタブレットなどから家庭内のエネルギー使用状況を管理できるようになります。
2020年5月時点でHEMS単体を対象にした補助金はありません。過去には実施されていたものの、既に終了しています。
代わりとして利用できるのが、ZEH(net Zero Energy House:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の補助金です。「消費エネルギー<創出エネルギー」を目指すZEHの住宅ではHEMSの導入が不可欠であり、ZEHの補助金ではHEMSもカバーされています。
初期費用の高さがネックになっているHEMSですが、導入後の節電効果によって現実的に回収できます。なにより、暮らしの快適性が向上する点はこの問題をふまえても大きなメリットです。
ZEHの補助制度を利用すれば導入費用のハードルも下がるため、ぜひHEMSの導入を検討してみてください。