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JCM(二国間クレジット制度)とは?基本概念とパートナー国を解説

JCM(二国間クレジット制度)は、先進国が発展途上国の温室効果ガス削減プロジェクトに、技術や資金を支援する制度です。

日本はパリ協定が締結された2015年より前から、JCMに積極的に取り組んでおり、17か国とJCMを構築することで、既に多くの実績を挙げています。

この記事では、JCMとは何か、JCMの基本概念、メリットやCDM(クリーン開発メカニズム)との違いなどについて解説します。

JCM二国間クレジット制度)とは

JCM(Joint Crediting Mechanism)とは、先進国と途上国が協力して温室効果ガスの削減に取り組み、削減の成果を両国で分け合う制度です。

JCMは日本語では「二国間クレジット制度」と呼ばれます。
先進国側は、途上国に優れた低炭素技術や製品、システムの提供からインフラの普及、緩和活動を実施し、途上国の温室効果ガスの削減・吸収に協力します。

これによって実現した、温室効果ガスの削減への貢献を評価し、先進国側の温室効果ガスの削減目標の達成に活用します。

日本は2011年から、途上国とJCMに関する協議を行ってきており、2013年にモンゴルとJCMを構築したのを皮切りに、これまでに17か国とJCMの署名をしています。

2015年のパリ協定においても、その6条でクレジットによる温室効果ガスの削減目標の国際的な移転について記述されており、今後、さらにJCMが活用されてゆくと考えられます。

JCM(二国間クレジット制度)のイメージ

JCM二国間クレジット制度)の基本概念

JCMの基本概念は以下の3点で構成されています。

  1. 優れた脱炭素技術等、製品、システム、サービス、インフラの普及や緩和活動の実施を加速し、途上国等の持続可能な開発に貢献
  2. パートナー国で実施される緩和行動を通じて、日本からのGHG排出削減又は吸収への貢献を定量的に適切に評価し、それらの排出削減又は吸収を日本のNDC(国が決定する貢献)の達成に活用する
  3. パリ協定第6条に沿って実施し、地球規模での温室効果ガス排出削減・吸収行動を促進することにより、国連気候変動枠組条約の究極的な目的の達成に貢献

参考:環境省二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism(JCM))の最新動向

まず、1点目は先進国側の取り組みです。
日本はこれまで17か国との間でJCMの署名をしており、合計205件の環境省JCM資金支援事業の実績があります。

2点目は、温室効果ガスの削減量に関するものです。
先進国と途上国の両国政府の代表者により合同委員会を制作し、合同委員会は第三者機関を指定します。

第三者機関は、プロジェクトの妥当性や温室効果ガスの削減量・吸収量を検証します。これにより、妥当性が確認されたものを、合同委員会がJCMプロジェクトとして登録します。

これまで日本では、上記205件のプロジェクトにより、2,240,970 t CO₂/ 年(想定)の削減量を実現しました。

3点目は、国際条約の達成についてです。

JCMのクレジットの取引は、パリ協定の第6条に沿って実施されます。

パリ協定の第6条は、海外で実現した温室効果ガスの緩和成果を、自国の排出量削減目標にオフセットすることを定めた規定です。

先進国が途上国に、温室効果ガスの削減に関する技術や支援し、国際条約に則ってクレジットのやり取りをすることで、地球全体で削減目標の達成、及び持続可能な開発の達成を目指します。

パリ協定については「パリ協定とは?日本の取り組みやアメリカ離脱の経緯をわかりやすく解説」で詳しく解説しています。

地球全体で削減目標・継続可能な発展のイメージ

JCM(二国間クレジット制度)のメリットとクレジットの仕組み

JCM(二国間クレジット制度)の「クレジット」とは、再生可能エネルギーの利用や植林・森林保護などにより実現した温室効果ガスの削減・吸収量を、決められた方法により定量化・数値化したものです。

クレジットを考えることで、温室効果ガスの削減・吸収量を企業間や国家間で取引できるようになります。

このように排出された温室効果ガスの取引をクレジットで行うことにより、直接的・間接的に温室効果ガスの削減を達成しようとする取り組みを「カーボン・オフセット」といいます。

カーボン・オフセットについては「カーボン・オフセットとは?必要性や企業の取り組み事例をわかりやすく解説」で詳しく解説しています。

先述の通り、JCMは先進国と途上国の2国間で削減成果を分け合う制度です。

先進的な低炭素技術には、高コストなものが多く、発展途上国では、その技術や設備に対する投資を回収する見込みが立てにくくなります。

そこで、先進国がその技術や資金を提供して、発展途上国の温室効果ガスの削減プロジェクトに取り組みます。

発展途上国は、自国だけでは実施できなかった削減プロジェクトに、取り組めるようになります。

先進国は、削減の成果を受け取り、自国の温室効果ガスの削減目標の補填に利用できます。

JCM(二国間クレジット制度)の基本概念の表示

JCM(二国間クレジット制度)とCDM(クリーン開発メカニズム)の違い

JCM以前は、途上国と先進国が協力して、温室効果ガスの削減に取り組む制度CDM(Clean Development Mechanism:クリーン開発メカニズム)がありました。

CDMは、京都議定書で提唱されたもので、環境省による「二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism(JCM))の最新動向」(平成27年4月)によれば、JCMとCDMの違いは以下の通りです。

JCM CDM
ガバナンス 分権的構造
(各国政府、合同委員会)
中央集権的構造
(京都議定書締約国会合、CDM理事会)
対象セクタープロジェクトの対象範囲 より広範な対象範囲 特定のプロジェクトは実施が困難
(例: 超々臨界圧石炭火力発電)
プロジェクトの妥当性確認 ・DOEsに加えて、ISO14065認証機関が実施可能
・提案されたプロジェクトが、客観的に判断可能な適格性要件に合致しているかを確認
・指定運営機関(DOEs)のみ実施可能
・仮想のシナリオに対して提案された各プロジェクトとの追加性を評価
排出削減量の計算
・スプレッドシートが提供される
・モニタリングを行うパラメータに制約がある場合、デフォルト値を保守的に用いる
・複数の計算式が掲載されている
・パラメータの計測に関する厳格な要件
プロジェクトの検証 ・プロジェクトの妥当性確認を実施した機関が検証を行うことが可能
・妥当性確認及び検証を同時に実施可能
・基本的にはプロジェクトの妥当性確認を実施した機関は、検証を実施できない
・妥当性確認及び検証は別々に実施されなければならない
参考:環境省二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism(JCM))の最新動向

CDMは、CDM理事会が一括でプロジェクトを管理していましたが、JCMは2国間の代表者による合同委員会が管理しますので、管理・調整の面で簡単になりました。

また、JCMはCDMと比較して、対象となるプロジェクトの範囲も広く、特に省エネ技術に関しては、JCMプロジェクトとして認められやすくなっています。
排出削減量の計算では、JCMはスプレッドシートにより、簡単に計算できるようになっています。

プロジェクトの妥当性確認・検証においても、JCMはCDMよりも効率的で柔軟にできるようになっています。

CDMの炭素クレジットは、国際的な取引・移転が可能ですが、現在、日本政府は世界に率先して、JCMに取り組んでいます。

JCMは現状、クレジットの国際的な取引を行わない制度です。国内ではクレジットの取引・移転が可能ですが、国際的な取引・移転はできません。

JCMクレジットの国際的な取引・移転を可能にすることが、JCMの今後の課題のひとつです。

JCM(二国間クレジット制度)パートナー国一覧

日本は17か国とJCMの関係を構築しています。

2011年から各国と協議を始め、2013年に9か国、2014年には3か国、2015年には4か国、2017年に1か国とJCMの署名をしました。

日本とJCMを構築している国 構築時期 JCM資金
支援事業の件数
モンゴル 2013年1月8日 8件
バングラデシュ 2013年3月19日 5件
エチオピア 2013年5月27日 1件
ケニア 2013年6月12日 2件
モルディブ 2013年6月29日 3件
ベトナム 2013年7月2日 37件
ラオス 2013年8月7日 6件
インドネシア 2013年8月26日 43件
コスタリカ 2013年12月9日 2件
パラオ 2014年1月13日 5件
カンボジア 2014年4月11日 6件
メキシコ 2014年7月25日 6件
サウジアラビア 2015年5月13日 2件
チリ 2015年5月26日 8件
ミャンマー 2015年9月16日 9件
タイ 2015年11月19日 45件
フィリピン 2017年1月12日 17件
合計 205件
参考:環境省JCM資金支援事業 案件一覧(2013~2021年度) 2021年12月23日時点

以上のように、17か国に計205件のJCM資金支援事業を行っており、2,240,970t CO₂  / 年の想定GHG削減量実績があり、日本政府発表資料「二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism(JCM))の最新動向」(2021年7月)によれば、日本政府の事業により2030年度までに累計5,000万から1億t CO₂ の排出削減・吸収が見込まれています。

世界全体で環境改善しているイメージ

JCM(二国間クレジット制度)について解説しました。

JCMにより、途上国は先進国から技術や資金の支援を受けられるため、自国のみでは出来なかった、温室効果ガスの削減事業に着手できます。

先進国は技術や資金提供により得られた削減成果を、自国の温室効果ガス削減目標に補填できます。

このように、両国間にメリットがあるため、今後JCMはさらに拡大してゆくことが予想されます。

日本は、世界に先駆けてJCMの取り組みをしてきた国であり、その経験やデータを生かして、今後JCMのさらなる普及に貢献できる可能性があります。

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